米財務長官、「財政の崖」めぐり共和党に赤字削減策の提示要求

ガイトナー米財務長官は2日、減税失効と自動的な歳出削減が重なる
「財政の崖」回避に向け、共和党に対して具体的な財政赤字削減策を
提示するよう求める一方、共和党オバマ政権が求めている富裕層向け
増税を受け入れるだろう、との見方を示した。

一方、共和党のベイナー下院議長はすべての国民に対する
「ブッシュ減税」継続を求める姿勢を崩さず、富裕層への
増税に反対する考えを改めて表明。

議論はこう着状態に陥っている。

ベイナー議長は「フォックス・ニュース・サンデー」に出演し、
「税率が引き上げられれば、米国の経済成長がさらに困難になる」と主張。

たとえ共和党オバマ大統領に1兆6000億ドルの税収を与えることに
同意したとしても、オバマ大統領は赤字を削減せず、「それを使って
しまうだろう」と述べた。

それに対し、ガイトナー財務長官も別途フォックスTVに出演し、
年末までに合意に達することができずに「財政の崖」から転落した場合、
その責任は共和党にあると指摘。

また、CNNの「ステート・オブ・ザ・ユニオン」でも「(富裕層の)
税率引き上げなしに合意することはあり得ない」と述べた。

世論調査で米国民の多くが富裕層向け増税を支持し、増税阻止に
向けた共和党の団結にもひびが入る兆しが見える中、オバマ政権は
自分たちに有利な形勢になっていると考えている。

しかし、ベイナー下院議長は戦いは始まったばかりだと指摘。

多くの税制優遇措置を廃止する以外に選択肢はないとして、
財政赤字削減に向けた具体的な案を提示することは拒否する
考えを改めて示した。

オバマ政権が債務上限を引き上げる権限を求めていることに対しては、
「ばかばかしい。議会がその権限を放棄することはあり得ない」として、
拒否する姿勢を示した。