米FRB当局者はQE3効果に満足、債券買い入れ継続規模で意見相違

米連邦準備理事会(FRB)当局者は3日、量的緩和第3弾(QE3)の
効果に一様に満足する様子を見せつつも、債券買い入れの継続規模を
めぐっては異なる見解を示した。

ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は3日、FRBが2013年も
毎月の資産買い入れ規模を総額850億ドルに維持し、緩和的な
金融政策を継続する十分な根拠が存在するとの認識を示した。

FRBは現在、月額450億ドルのツイストオペを実施。

これに加え、月額400億ドルのモーゲージ担保証券
MBS)買い入れも実施している。

同総裁はニューヨーク連銀などが主催する住宅ローン関連の
会合で行う講演の原稿で、FRBの現在の長期資産買い入れ規模は
適切との見方を示し、「年末にツイストオペの期限が切れた後も、
FRBが来年も850億ドル規模の償還期限がより長い債券の買い入れを
継続すると強く主張することができる」との立場を示した。

一方、セントルイス地区連銀のブラード総裁は3日、FRBは、
年末に期限が切れる月額450億ドルのツイストオペを同規模の
国債買い入れに置き換えるべきではないとの考えを表明。

国債の買い切りオペはツイストオペよりも緩和効果が高いため、
同規模の国債買い入れを行えばインフレを招く恐れがあるためとしている。

同総裁はリトルロック商工会議所での講演用原稿で、「政策を
現在の軌道にとどめることが目的なら、代替手段として導入される
措置の規模は縮小させる必要がある」と述べ、月額250億ドルで
十分との考えを示した。

12月11〜12日の連邦公開市場委員会FOMC)では、FRB
バランスシートを拡大するかどうかが主要議題となる見通し。

エコノミストの間では、月額450億ドルのツイストオペのうち、
大部分が長期資産買い入れに置き換えられるとの見方が出ている。

このほか検討されているのが、FRBによる金融政策の変更を
正当化する経済状態を明確にするための、インフレ率と失業率に
関する数値基準の採用の是非だ。

ローゼングレン総裁は、こうした数値基準の導入はFRB
コミュニケーション手段を実質的に改善するものとして、
改めて支持を表明。

ただ、導入の是非について、また、どのような指標を
利用するかについて、政策担当者の間で合意は
得られていないとした。

一方、ブラード総裁は、自身の懸念が解消されるならば
数値基準の採用を支持すると表明。

特にFRBがインフレ率よりも失業率を基準としていると
みなされることへの懸念を示した。

同総裁はこれまで、数値基準採用により
懐疑的な見方を示していた。

数値基準をめぐっては、イエレンFRB副議長が採用に強い支持を
表明したほか、ミネアポリス地区連銀のコチャラコタ総裁と
ボストン地区連銀のローゼングレン総裁が特定の提案を行うなど、
このところ採用に向けて弾みがついている。

第3・四半期の米経済は前期比年率プラス2.7%の成長を示したが、
第4・四半期には減速するとみられている。

セントルイス地区連銀のブラード総裁は3日の講演後、
米議会が「財政の崖」を回避することができなかった場合、
その影響が大き過ぎるため、金融政策で相殺することは
できないと発言。

米経済については2013年の経済成長率は3.5%になるとの予想を
変えていないとしながらも、見通しについて「懸念しており、
経済指標を注意深く見守っている」と述べた。

ニューヨーク連銀のダドリー総裁は3日、住宅ローン関連の
会合を主催し、MBS利回り低下が住宅ローン金利に波及しないなど、
FRBの政策の効果が国民に浸透しない要因を調査するのが目的だと語った。

同総裁は「われわれはMBS利回りと住宅ローン金利の差の
著しい拡大傾向に注目している」と述べた。

また、金融緩和の効果が金融機関を通じて国民に完全には
浸透していない場合でも、FRBMBS購入は米経済が切望していた
支援となったとの考えを示し、「われわれの政策は、現在の環境では
確かに全能ではないが、これまでもこれからも効果的であり続ける」
と語った。