日銀が2%物価目標と無期限緩和、政策運営には裁量余地

日銀は22日まで開いた金融政策決定会合で、
2%の物価上昇率を新たに「目標」と明確に定め、
2014年以降期限を定めず国債などを買っていく
無期限(オープンエンド)型の新たな金融緩和強化策を
打ち出した。

共同声明で政府との連携強化を迫った安倍政権の
強い要請を受けた結果だが、白川方明総裁はバブルが
発生した場合の政策運営は「日銀が責任をもって
判断する」とも指摘。

政策運営面での自主性は堅持する考えを示した。

追加緩和と言いつつ、2013年中は資産の買い入れペースを
増やさないなど今後の追加緩和期待も温存した格好だ。

日銀が昨年12月の会合に続き2回連続で金融緩和を
強化するのは、りそなグループの実質国有化などで
金融不安が高まった2003年4、5月以来約10年ぶりと異例だ。

従来は目指す物価上昇率について「目途(めど)」と表現、
当面1%が見通せるようになるまで金融緩和を続ける方針だった。

今回は目指す物価上昇率を「2%」の目標と明確に定め、
できるだけ早期に実現することを目指すことを賛成多数で決めた。

このため、2014年以降は期限を定めずに国債などの
金融資産を毎月13兆円買い入れるオープンエンド型を導入した。

会見した白川総裁は「物価目標のできるだけ
早い実現に効果的と判断した」ためと説明した。

従来は、2013年末を期限とする基金を設けて
国債などを買い入れ、現在65兆円(20日時点)の
基金を12月末まで101兆円に拡大する計画だったが、
買い入れ終了後に基金の残高を維持するため償還で
目減りする国債を改めて買い入れるか明言していなかった。

日銀の基金による国債買い入れペースは
現在の月1.7兆円から来年は2兆円に増える。

しかし基金残高の増加幅は2013年の
36兆円から、2014年は10兆円に減る。

2015年以降は、現時点では基金の残高を維持するため
償還分の国債社債・CP(コマーシャルペーパー)を
買い入れるにとどめている。

また、昨年11月の会合以降、円安効果を狙い一部の
審議委員が提案していた当座預金に付く金利(付利)
の引き下げや撤廃も見送られた。

短期金融市場は規模が縮小しており付利撤廃は
副作用より効果が大きいとの声も日銀内にあるが、
白川総裁は会見で「市場機能と金融機関に対する
副作用」を改めて強調。

今会合では、これまで金融緩和に積極的だった審議委員が
相次ぎ慎重な提案をしたのも特徴だ。

佐藤健裕委員と木内登英委員は2%目標を
掲げることについて、実現が難しく政策の信認を
毀損すると理由で反対した。

宮尾龍蔵委員は「ゼロ金利と資産買入で
それぞれの継続期間設定を提案した」(白川総裁)。

米連邦準備理事会(FRB)がゼロ金利維持は
失業率目標の達成まで維持する一方資産買い入れは
早期停止もありうると発信しており、米国発の
急激な長期金利上昇が日本にも伝播するリスクなどが
念頭にあるとみられる。