米FRB、積極的な景気刺激策を継続=イエレン副議長

米連邦準備理事会(FRB)のイエレン副議長は11日、
依然として厳しい雇用情勢を踏まえれば、FRBが行っている
積極的な金融緩和政策は正当化されるとの認識を示した。

同副議長は米最大の労働組合である労働総同盟産別会議
(AFL−CIO)での講演で、「雇用最大化と、現在労働者が
直面している困難な状況との間にかい離があることは、
FRBが現在実施している経済回復に向けた措置が
急を要するものであることを物語っている」と述べた。

その上で、「FRBはこれまで、経済成長の加速と
雇用創出に向け積極的な措置をとってきたが、
今も実施し続けている」との考えを示した。

また、米政府の財政政策が
景気回復の足かせになっていると指摘。

「裁量的な財政政策は、これまでは景気の追い風と
なってきたが、当面は回復に対する向かい風で
あり続けるとみている」と述べた。

失業率の高止まりは、構造要因ではなく、景気循環
背景とする需要不足が主因との見解を示し、金融政策が
雇用市場の回復を後押しできるとの考えを示唆した。

また長期失業は潜在成長力を押し下げる可能性があるため、
失業者だけでなく、経済全体にとって深刻な問題と指摘した。

さらに、米国や欧州各国が実施している財政赤字削減に
向けた大幅な歳出削減策により経済成長が軌道から外れれば、
こうした赤字削減策は自己破滅的なものになると警告。

「米国と欧州の双方にとり、緊縮財政措置により
失業率は上昇し、経済は弱体化する。さらに、
こうした措置の実施を通して目指している
目標自体が損なわれる」と述べた。

一部のアナリストの間では、米FRBが実施している
景気刺激策は将来的にインフレを招くとの懸念が上がっている。

これに対しイエレン副議長は、金融政策を引き締めに
転じることが必要な時が来れば、銀行超過準備への付利など、
FRBは必要な手段を持ち合わせていると述べた。

「通貨安戦争」への懸念が一部で指摘されるなか、
大規模な米貿易赤字の役割についての質問には
楽観的な見方を示した。

副議長は「米ドルはかなり前から実質的に非常に緩やかに
下落してきており、米経常赤字に大きな違いをもたらしている。
経常赤字は大幅に減少しており、持続不可能な軌道にはない
とみている」とし、「したがって、この件に関しては
前進したと考えている」と述べた。