債券購入は大問題の対処のみ可能、通貨安戦争議論は行き過ぎ=ECB総裁

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は12日、
新たな債券買い入れプログラム(OMT)の活用は
金融政策の波及に大きな問題があるときのみ
検討が可能との立場を表明した。

また通貨安戦争に関する議論は
行き過ぎとの認識を示した。

スペインの国会議員の招請で1時間あまり行われた
議員団との会合で総裁は、「金融政策の波及に
大きな問題があり、欧州安定メカニズム(ESM)に
付随する厳格で効果的な条件が満たされる場合に限り、
ECBとしてOMTを検討することができる」と述べた。

会合は非公開だったが、講演内容が
ECBのウェブサイトで公表された。

会合後に総裁は、スペインは景気回復へ正しい道を
歩んでおり、前向きな兆候もいくつかみられると指摘した。

ドラギ総裁が10月にドイツ議会で招かれた後、
スペインの議員団も総裁を招請していた。

総裁は記者団に対し「通貨安戦争の議論はかなり行き過ぎだ。
そのような兆候は全く確認していない」と述べた。

また、金融政策に直接にかかわっていない者による
為替レートについての発言について「おそらくは
不適切あるいは実りがない」と一蹴。

その上で「ECBに一定の為替水準の達成を指示する
発言であれば、基本的にECBの独立性を侵すもので、
ECBの責務は一定の為替水準ではなく、中期的な
一定の物価安定だ」と述べた。

ただ為替レートは成長と物価安定にとって重要とも指摘し、
「為替の上昇が持続されるかどうか、物価安定への
リスク評価を変更する潜在性があるかどうかを
見極めている」と述べた。