畑中金融庁長官、各国関係者に規制の「総点検」呼びかけ

金融庁畑中龍太郎長官は8日、欧米亜の当局関係者や
研究者などと金融規制・制度のあり方を議論する
国際会議で講演し、アジア金融市場の持続的成長に向け
「日本を含め、各国で金融規制を今一度、総点検しては
どうか」と呼びかけた。

畑中長官は、成長のカギを握る外国からの投資の障害に
なりかねない要因として、1)過剰な金融規制、2)不透明で
予見が困難な金融行政の2点があると指摘。

例として、優先貸し出し規制と呼ばれる貸出総額の
一定割合を農業や中小企業などの特定セクター向けに
することの義務付けや、外国銀行の支店総数の規制、
預貸比率規制などがあるとした。

国内産業の保護や雇用の確保、急激な資本流出流入
防止などの政策目的があることに理解を示しながら
「経済効率性を向上させる政策と、バランスさせていく
必要がある」とも指摘した。

日本では監督指針や金融検査マニュアルを公表することで、
行政の透明性・予見可能性を高める努力をしていると説明。

アジア金融市場の成長に向けては、金融制度・インフラの構築、
監督行政の運営手法などの知見や教訓を伝えることで
貢献したいと話した。

一方、アジアに進出する銀行など日本の金融機関に対しては
「単に貸し出しを伸ばすだけでなく、アジアの顧客と
中長期的な成長戦略を議論・コミットし、ともに成長できる
信頼関係を築くことが重要だ」と述べた。

証券取引所や現地通貨建ての債券市場構築など、
アジアの成長分野に内外の成長資金が流れるよう、
金融インフラ構築への協力も期待される、とした。

金融庁は、銀行や保険・証券などの業界団体と、
日本の金融機能の向上・活性化に向けた実務者レベルの
意見交換を進めており、年度内にも報告書を取りまとめる方向。

主なテーマには、日本の企業・金融機関の国際展開を
促進するため海外金融規制の見直しの働きかけや、
金融技術協力を通じたアジア諸国の金融・資本市場の
整備支援が含まれている。