キプロス議会、銀行預金課税法案を否決
キプロス議会(56議席)は19日、国際支援を受ける
条件である銀行預金課税法案を否決した。
採決結果は賛成ゼロ、反対36、棄権19、
欠席1と圧倒的な反対多数での否決だった。
ギリシャ、ポルトガル、アイルランド、スペインなど、
ユーロ圏諸国は過去3年にわたり、欧州連合(EU)からの
支援を受けるため、国民に不人気な緊縮措置を
繰り返し受け入れてきた。
域内小国のキプロスがこうした流れに逆らい、
EUの支援条件を拒否したことは、ユーロ圏諸国に
とっては大きな痛手となる。
EUはキプロスが預金課税を受け入れない限り、
100億ユーロ(128億9000万ドル)の支援を
行わない方針を示しており、キプロスは法案否決により
財政破綻の瀬戸際に立たされた。
ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)の
ダイセルブルーム議長(オランダ財務相)は
採決結果を「遺憾だ」としたが、条件が
満たされれば支援は実施されると表明した。
否決された法案は、2万ユーロ(2万5920ドル)を
下回る預金は課税対象外とし、2万〜10万ユーロまでの
預金への課税率は6.75%とした。
ユーロ圏財務相は前日の緊急電話会議で、10万ユーロ未満の
預金を保護し大口預金への課税を強化するよう求めたが、
アナスタシアディス大統領は課税による58億ユーロの
歳入確保のために10万ユーロ超の預金に10%超の
課税を行うことには断固として反対。
法案では、より小額の預金に
対しても課税を行う内容となった。
キプロス内ではロシアからの
支援に期待する声もある。
キプロスのサリス財務相はこの日、モスクワを訪問し、
金融支援について協議している。
キプロス政府によると、アナスタシアディス大統領と
ロシアのプーチン大統領が採決後に電話で
「建設的で実りがある」協議を行ったという。