米財務長官、G20に競争的な通貨切り下げ回避を要請

米国のルー財務長官は17日、中国を名指しした上で、
20カ国・地域(G20)に対し「近隣窮乏政策」的な
通貨切り下げを回避するよう圧力をかけ続ける
との姿勢を示した。

また、日本も監視対象になっていることを示唆した。

同長官は、18〜19日に開催されるG20財務相
中央銀行総裁会議を前に、ジョンズ・ホプキンズ大学の
高等国際関係大学院(SAIS)で講演。

欧州における需要回復の重要性も強調し、ドイツに
ユーロ圏南部の危機国への支援を強化するよう促した。

同長官は「G20に参加するすべての国・地域が、
競争上の理由から為替相場を目標としないとの
最近のコミットメントを順守することが重要と
なっている」と述べた。

今回の会議では、競争的な通貨切り下げを回避するとした
2月のG20声明が確認される見通し。

長官は質疑応答で、米国は、日銀が通貨介入の領域に
足を踏み入れた兆候があるか監視を行っていると発言。

「需要回復を促すことが必要だが、為替相場
目標とするものであってはならず、注視している」
と述べた。

その上で「日本は長期にわたり内需の問題を抱えていた。
日本が国内向けの政策ツールを用いて内需拡大
目標としている限り、日米欧7カ国(G7)が
数週間前にモスクワ会合で合意した内容に
沿っているとわれわれは考える」と述べた。

中国についてはより直接的に批判したものの、
為替操作国として名指しはしていない。

その上で「ここ数カ月、為替柔軟化の動きが鈍っている
ようにみえることや、市場介入のペースが加速している
ことを懸念している」と述べた。

発言の多くは、欧州を念頭に置いたもの。

ドイツなど経済大国が緊縮の手を緩め、内需促進のため
より緩和的な政策をとるよう促している。

長官は「ユーロ圏北部の一部の経済大国は、
さらなる需要創出に向けた財政・金融政策を
可能にする財政余地を持っている」と述べた。

一方、ユーロ圏の大国にわずかな成長を
もたらすのみで、周辺国経済を縮小させるような
措置については、持続可能でないとして厳しく批判した。