国債の信用維持、政府が財政健全化の道筋つけること重要=日銀総裁

黒田東彦日銀総裁は25日午後の参議院予算委員会で、
国債の信用維持には政府が財政健全化の道筋をつけ、
財政構造改革を進めることが重要とし、政府の取り組みに
期待感を表明した。

デフレの悪循環を断ち切ることで、緩和効果が
実体経済に波及していくとの見方も示した。

日銀は今月4日、「量的・質的金融緩和」の実施に伴い、
保有長期国債残高を銀行券発行残高以内に抑制する
「銀行券ルール」の一時停止を決めた。

黒田総裁は、国債を大規模に買い入れる新たな
金融緩和策の実行によって2%の物価安定目標を
達成するための措置との認識を示し、「物価安定目標が
達成され、徐々に国債保有残高が減っていく中で、
日銀券ルールが復活してくる」と述べた。

また、欧米の中央銀行も中銀券の発行残高を上回る
国債の買い入れを行っているが、「国債の信用が
失墜しているということはない」と語った。

日銀による大規模緩和を受けて円安・株高が進むなど
市場の期待が高まっているが、賃金など実体経済への
波及を疑問視する声も多い。

黒田総裁は、実体経済へのインパクトの重要性を強調し、
「過去15年間続いたデフレの悪循環を断ち切り、
実体経済がバランスよく改善し、物価上昇率
徐々に上がっていく好循環を作り出していきたい」と指摘。

「好循環の下では、企業収益、雇用、賃金が
増加することで幅広い国民にプラスが及んでいく」
と説明した。

円安の影響に関しては、先に日銀本店で行われた
支店長会議での報告を紹介し、中小企業を中心に
仕入れ価格の上昇を懸念する声がある一方、
「輸出企業の収益や先行きの業況感が改善し、
全体として景況感は各地域とも改善した」と指摘。

政府の政策と合わせ、各種の取り組みが中小企業の
業況改善にもつながっていくとの見解を示した。

また、日本経済の持続的な成長を実現には少子高齢化
人口減少に歯止めをかけることが「極めて重要」と語った。

この点でも政府の成長戦略における
少子化対策に期待を示した。

はたともこ(生活)、大門実紀史(共産)の
両委員の質問に答えた。