英中銀、カーニー次期総裁就任後に政策余地増す可能性=金融政策委員

イングランド銀行中央銀行)のウィール金融政策委員は17日、
インフレが将来低下するという兆しが若干見えてきている現状では、
カーニー次期総裁が就任した後は中銀の政策で経済を刺激する余地が
高まる可能性があると述べた。

同委員は、インフレターゲットに対する中銀の取り組みに
対する世間の信頼を保つ必要性があることから、最近は
政策で需要を支援する余地が限られてきたと指摘した。

インフレ率が過去5年間ほぼ一貫して中銀が目標とする2%を
上回ってきたことで、政策委員会のほとんどのメンバーは
更なる資産買い取りに慎重な姿勢を示してきた。

ウィール委員は講演で、「インフレを押し上げるような
新たなショックを十分に軽減する措置を取らずにいれば、
インフレ期待はより根強く定着するだろう。現在の
状況下ではその結果我々が需要を支援する余地が
限られてくるというのが私の考えだ」と述べた。

しかし中銀は15日発表した四半期インフレ報告の中で
インフレ予想を引き下げ、成長見通しをやや引き上げた。

これについて同委員は「現状はやや良くなってきているように
思える。成長見通しの改善もそうだし、インフレ圧力も
やや低下してきているようだ」と質疑応答で述べた。

「(カーニー氏)はここしばらくと比べると政策の余地が
高まっている時に就任するということかもしれない」と語った。

カーニー・現カナダ中銀総裁は
キング総裁の後任として7月に就任する予定。

ウィール委員は、米国に比べてイギリスのインフレは
目標を上回ることがよくあるが、イギリスでは他国に
比べると労働市場ボトルネックがインフレの
要因となる場合が多いと指摘した。

また、市場の金利は2016年まで非常に低い水準にとどまり、
その間インフレは2%に戻るという中銀の見通しは、
将来の金利において強い方向性を与えていると述べた。

また委員は英経済に回復の兆しが見えると指摘し、
「過去3年のほぼスタグネーション的な状態は、
緩やかな回復に取って代わられる可能性がある」と語った。