欧州委、緊縮から構造改革に軸足移すよう提言へ=EU当局者

欧州委員会は、29日に公表する欧州連合EU)加盟国の
経済に関する年次審査報告書で、成長押し上げに向け、
これまでの緊縮一辺倒の路線から構造改革へと
さらに軸足を移すよう提案する。

財政再建の継続を求めるものの、投資家の信頼感が
ひとまず回復したことを受け、より緩やかなペースでの
経済の立て直しを認める方針だ。
EU当局者が明らかにした。

あるEU高官は「緊縮から構造改革
舵を切るというのが主なメッセージ」と述べた。

重債務国に財政出動を行う余力はないため、労働市場
柔軟性向上や財・サービスの市場開放など構造改革を通じて
成長を支援するよう勧告する。

欧州委の勧告は6月下旬に開催されるEU首脳会議で
承認されれば、法的拘束力が生じ、2014年以降の
予算編成に反映されることになる。

欧州委は今月、ユーロ圏の財政再建ペースは、
対域内総生産(GDP)で1.5%の財政赤字を削減した
2012年から、今年は約半分の水準となる同0.75%に、
2014年は0.1%にそれぞれ鈍化するとの見方を示している。

これに対し、米国は今年GDP比で2%、
来年は1%の赤字削減を見込んでいる。

欧州委はまた、財政赤字GDP比3%以内に抑える
財政再建目標をめぐり、フランス、スペインに
達成期限の2年延長を認める見通し。

両国は財政再建目標の緩和と引き換えに、労働改革や
全般的な構造改革の断行を迫られるとみられている。

この他、スロベニア、オランダ、ポルトガルポーランド
財政再建目標の達成期限で一段の猶予を与えられる公算が大きい。