アイルランド、米上院による租税回避地との指摘に反論へ=関係筋

アイルランド政府は、同国が多国籍企業租税回避地
なっているとの米上院議員の指摘に対し、今週中に
公式な書簡を米上院に送付し反論する見通しであることが
複数の関係筋の話で明らかになった。

米上院は米企業による海外への資産移転を通した
課税回避の実態を調査しており、20日に公表した報告書で、
米アップルが税金支払いを回避するためアイルランド
子会社に数十億ドルの利益を蓄えていた疑いがあると指摘。

上院小委員会はまた、同社がアイルランド政府との交渉で
2%以下の特別に低い法人税率の適用を受け、課税逃れに
つながったとも指摘した。

こうした動きに対しアイルランド閣僚は、
同国の税制度は透明性が高いと主張。

アップルに非常に低い税率が適用されていた場合、
諸外国の税制度に問題があると反論していた。

複数の政府関係筋によると、アイルランド政府は今週、
米上院に対し公式な書簡を送付し、上院行政監察小委員会の
委員長を務めるカール・レビン上院議員(民主党)に対し、
アイルランド租税回避地でないことや、アップルに対し
特別な税率を適用しなかったことを明確に伝える見通し。

アイルランドのクレイトン欧州問題担当相はロイターに対し、
現在取りまとめられている書簡の草案について、「強い反応に
なると確信している」と述べた。

その上で「アイルランドが自国の立場を主張し事実を
伝えなければ、風評被害が発生するリスクがある」とし、
「企業が事業を展開するに当たり、アイルランドが安全で、
かつ法的に健全な場所であることを強く指摘したい」と語った。

クレイトン欧州問題担当相はこの日から4日間の日程で訪米。

ワシントンとニューヨークを訪れ、
政財界の要人との会合に出席する。

同相の訪米は米上院が法人税に関する報告書を
公表する前から予定されていたが、同相は、
訪米する他の閣僚とともに「誤解」を解くために
この機会を最大限利用したいとしている。