ECB、利下げより流動性供給に主眼=オーストリア中銀総裁

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのノボトニー・
オーストリア中銀総裁は28日、ECBは利下げよりも
むしろ銀行の流動性を増加させる手段に主眼を
置いていると述べた。

同総裁はロイターのインタビューに対し、
「欧州経済は今年下半期には上向く」との認識を表明。

ただ、金利がすでに「非常な低水準」にあるため、銀行への
流動性供給に主眼を置く必要があると表明。

欧州の資産担保証券(ABS)市場の再活性化や、
ECBがリファイナンスオペの担保として受け入れる
ABSに適用するヘアカット(割引率)を引き下げなどの
手段により、中小企業向け融資の増大が望めるとの考えを示した。

その上で、流動性供給は金利よりも重要との考えを示し、
「現在の低金利下で、金利がもたらす効果を
過剰評価してはならない」と述べた。

セントルイス地区連銀のブラード総裁は前週、ECBも
量的緩和第策の実施を検討する必要があるとの考えを表明。

これに対しノボトニー総裁は、「ECBは米連邦準備理事会
FRB)とは異なる法的根拠の上に立脚している。ECBは
直接債券を買い入れることができないなど、(FRBのような
量的緩和を実施するにあたり)究極の障壁が存在することを
考慮する必要がある」と述べた。

ただ、ECBは当面は低金利政策を
維持する用意があるとの立場を表明。

「米国の成長見通しは、ユーロ圏と比べてより安定している。
このため、少なくとも自分自身の見方では、ECBの金融政策が
緩和的であり続けることは明白だ」と述べた。

今後どの程度の期間、緩和的な政策が継続されるのか
との質問に対しては、「必要な限り、当面の間は継続される」
とし、「非標準的な手段ではあるものの、成長見通しが
低迷する一方でインフレ率が低下する状況が続く限り、
現行の政策スタンスを維持するための強い根拠が
存在する」と述べた。

ただ、追加緩和の可能性については「金融政策の
面から追加策を検討することは難しい」と指摘。

代替策としてECBは、リファイナンスオペの担保として
受け入れるABSに適用するヘアカット(割引率)を
引き下げることなどを検討していることを明らかにした。

現在の割引率は最高で32%に上る。

欧州経済については、最大の経済規模を持つドイツで
「かなりの数のプラスの兆候が出ている」ため、
オーストリアなどの国の経済も支援されると指摘。

近隣の中・東欧諸国の経済も安定化に
向かっているとの認識を示した。

その上で「2013年はユーロ圏全体としては
マイナス成長が見込まれているが、ドイツ、
オーストリアスロバキアなどはプラス成長と
なると予想されている」と述べた。