米FRB当局者が緩和縮小観測けん制、「FOMC見通しからかい離」

米連邦準備理事会(FRB)の有力当局者2人が27日、
市場で広がっている早期の緩和縮小観測について、
FRBの意図を誤って受け止めているとの見方を
相次いで示し、市場とのかい離を埋めることに腐心した。

ニューヨーク連銀のダドリー総裁は講演原稿で、
市場の早期利上げ観測は連邦公開市場委員会
FOMC)声明や大半のFOMCメンバーの
見通しからかけ離れているとの見方を示した。

パウエルFRB理事も講演で、資産買い入れ縮小ペースに
関するFRBの見通しに市場は過剰に反応し、
利上げ開始時期の予想がかなり前倒しされている
との見解を明らかにした。

両氏の発言は、バーナンキFRB議長が前週、
資産買い入れ縮小・終了に向けた行程を示してからの
市場の急激な動きをFRB当局者がいかに
不安視していたかを浮き彫りにする格好となった。

今週に入ってFRBだけでなく、欧州中央銀行
(ECB)当局者も緩和継続の姿勢を表明しており、
27日の金融市場では早期の緩和縮小をめぐる懸念が
後退し、株価や債券価格が上昇した。

ダドリー総裁は量的緩和第3弾(QE3)について、
米国の経済成長と労働市場が予想より弱かった場合、
バーナンキ議長が前週に示した見通しよりも積極的な
買い入れ規模になる可能性があるとの見解を示した。

「経済情勢が連邦公開市場委員会FOMC)の見通しから
大きくかい離する可能性もある」とし、「ここ数年実際に
見られたことだが、労働市場の状況、及び経済成長の勢いが
FOMCの見通しほど良くなかった場合、資産買い入れは
より大きな規模で、より長期にわたり継続されると
予想している」と述べた。

パウエル理事も、景気が予想を下回った場合、QE3の
縮小は先送りされる可能性があると指摘し、
「資産買い入れプログラムは、恐らく当分の間
続くだろう」との見方を示した。

また「日程よりもデータのほうが重要」と強調し、
「経済動向が(予想よりも)弱ければ、FOMC
買い入れ縮小を遅らせる、もしくは買い入れを
拡大させる可能性もある」とした。

アトランタ地区連銀のロックハート総裁も、FRB
資産買い入れは米経済の情勢により決定されると述べた。

ただ、経済が予想に沿って推移すれば、買い入れ規模の
若干の縮小が適切となるとの考えを示した。

フェデラルファンド(FF)金利の引き上げ開始時期を
めぐっては、FOMC参加者の大半が2015年と
予想しているにもかかわらず、金利先物市場では
2014年終盤に前倒しされている。

ダドリー総裁は市場でのこうした利上げ観測の
前倒しについて、FOMC声明やFOMC見通しから
かけ離れているとの見方を示した。

緩和縮小に向けた行程の下でも、「金利の引き上げは
かなり先のことになる公算が非常に大きい」とし、
FOMCが数値基準として挙げている失業率が
6.5%に低下するまでかなりの時間がかかる。
さらに、FOMCは利上げ開始までかなりの
期間待つこともできる」と述べた。

労働市場については、「依然として健全であるとは
言えない」とし、「経済にはまだかなりの緩みが
存在する」と指摘した。

パウエル理事は5月以降の市場の調整の動きについて
「(FRBの)政策見通しの妥当な再評価によって
正当化できる範囲を超えている」と指摘。

市場で織り込まれている2014年中の利上げ確率は、
大半のFOMC参加者や民間の予想よりも強い景気見通しを
反映しているとの見方を示した。

金融市場における最近の動揺について理事は、
景気やFRBの政策について常に変化する見解を
市場に伝えるという難しい課題を考慮すれば、
ある程度の混乱は恐らく避けられないとの見方を示した。

一方で、実質金利は歴史的に見れば依然低く
抑えられており、株式のバリュエーションも
正常範囲にとどまっているようだと指摘した。

ダドリー総裁はまた、QE3に関する計画を
明確にしようとしたバーナンキ議長の試みについて
「一部の市場参加者はヒントやシグナルと
受け止めているが、そのような意図があるとは
思わない」とし、「FRBとしては率直かつ非常に
明確に市場に意思を伝えようとしており、
それがヒントと誤解されるのはわれわれの
意図するところではない」と述べた。