農地バブル崩壊の恐れはまだない=米カンザスシティー地区連銀総裁
米カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は16日、
農地価格の急騰は依然懸念要因だが、価格押し上げの要因は
1980年代の地価急落時の状況とは異なっているとの認識を示した。
同総裁はこれまでにも農地「バブル」をめぐり懸念を
表明しており、金融政策に関しては金利上昇と
米連邦準備理事会(FRB)による金融緩和終了を
主張している。
銀行関係者や経済界リーダーを前にしたこの日の講演では、
農業従事者と銀行の双方が1970年代の「過剰レバレッジ」
から教訓を学んだと指摘。
1980年代の米国では、FRBがインフレ抑制のため
大幅利上げに動くと、地価急落と銀行融資の担保価値崩壊で
多くの農家が破産に追いやられた。
ジョージ総裁は「農地価格と、この地域で異常な水準の
取引が続いていることに注目している。世界的な
コモディティー(商品)需要やリターン重視の動きが
背景にあることは承知している」と述べた。
カンザスシティー地域は農家が多く、小麦やとうもろこし、
畜牛の国内有数の産地として有名。
ここ数年は農地価格が過去最高水準に上昇している。
同総裁は「1970年代のような農地関連のレバレッジは
今はみられない。銀行は担保融資で受けた痛手を覚えており、
当時のような状況にはなっていない」と述べた。