中国シャドーバンキングは100兆円規模の可能性=JBIC副総裁

国際協力銀行JBIC)の渡辺博史副総裁(元財務官)は17日、
都内で開いた記者団との懇談会で、中国のシャドーバンキング
(影の銀行)市場について、100兆円レベルに達している
可能性を指摘し、どこかの段階で処理をしなければいけない
問題であり、要注意だと語った。

ただ、損失の大部分は中国国内にとどまる可能性が大きく、
システミックリスクを回避する姿勢を明確にしている
中国当局の対応次第では、問題が表面化しても世界経済や
国際金融市場への影響は最小化できるとの見方を示した。

中国のシャドーバンキング市場は、一部で
300兆円を超える規模とも言われている。

渡辺氏は「さすがに中国の預貯金の動きなどを見ると、
300数十兆円というのは大き過ぎる」としたが、
預金金利がインフレ率を下回っている中で
「ある程度の金額が動いていることは間違いない。
100兆円ぐらいのレベルでも不思議ではない」と語った。

その上で、過剰生産を抱える中国経済の減速が
鮮明になっている中で「どこかで処理をしなければいけない。
要注意だ」と警戒感を示した。

ただ、「幸いなことに中国の市場は上海を含め、
外国の投資家がどっと入ってきているわけではない」とし、
「損をするのは、あくまで中国国内の人。個人か、
事業法人か、国営企業か、銀行かという意味では、
中国の中のゼロサムゲームのようなところがある」と指摘。

中国当局不良債権問題に伴うシステミックリスクを
回避する姿勢を明確にしており、問題が表面化しても
「悪影響は最小化できると思う」との見解を示した。

株安など国際金融資本市場を通じた影響についても、
レパトリ(本国への資金還流)などの動きは欧米や
日本の市場に比べて「はるかに違うので、そこは
冷静に見た方がいい」と語った。

中国経済の先行きについては、7%程度まで成長率が
減速する可能性があるとしたが、「ハードランディング
というほどひどくはならないと思う」と展望。

もっとも、成長率が7%程度まで落ちる過程で低所得の
階層にしわ寄せがいく可能性があるとし、「社会的に
いろいろな意味でガタガタするかもしれない」と語った。