IMF、アルゼンチンの債務再編問題で米最高裁に異例の審理要請へ

アルゼンチンがデフォルト(債務不履行)後の債務再編に
応じなかった債権者(ホールドアウト)にとって有利な
米控訴裁判所の判決を不服として上訴している法廷闘争で、
国際通貨基金IMF)が米最高裁に審理を求める意向で
あることが明らかになった。

IMFは、10年に及ぶ法廷闘争の結果次第では
ソブリン債の再編に影響があると懸念している。

IMFのラガルド専務理事はホールドアウトに
16日書簡を送り、IMFが法廷助言者として
弁論趣意書を26日の期限までに提出するよう
理事会に働き掛ける意向であると伝えた。

ホールドアウトの弁護士が明らかにした。
IMFとしては異例の措置となる。

書簡を受け取った原告団には米ヘッジファンド
エリオット・マネジメントの子会社NMLキャピタルや
アウレリアス・キャピタル・マネジメントが含まれている。

米第2巡回区連邦控訴裁は昨年10月、2005年と
2010年の債務再編に応じなかったホールドアウトの
平等な取り扱いを求める債券書類の条項にアルゼンチンが
違反したとする判決を下していた。

アルゼンチン政府はこの判決の破棄を求め、
最高裁に上訴している。

米連邦地裁のトーマス・グリーサ判事は昨年11月に
アルゼンチンに対し、全債権者に同時に返済するよう求め、
ホールドアウトに13億3000万ドルを支払うよう命じており、
第2巡回区連邦控訴裁は近くこれを支持するかどうかの判断を下す。

最高裁は夏季の閉廷期間中で、アルゼンチンの上訴を
審理するか決めるのは秋になる見通し。

2002年のデフォルト(債務不履行)を受けて2005年と
2010年に実施された債務再編には債権者の93%が参加し、
額面1ドルに対し最低0.25ドルの返済を受け入れたが、
ホールドアウトは全額返済を求めて訴訟を起こし、
過去10年にわたり米国で法廷闘争を続けている。

IMFの立場に詳しい関係者は「これは金融システムの
安定に関する問題だ。アルゼンチンの代わりに、
あるいはアルゼンチンの行動に味方しての
申し立てではない」と述べた。

IMFは4月に発表している研究論文で、アルゼンチンに
不利な判決が支持されれば、「集団行動の問題に悪影響が及び、
ソブリン債の再編プロセスを阻害するリスクがある」と述べている。

ただ、第2巡回区連邦控訴裁は、大半の新発債には
債務再編拒否者の訴訟による脅威を排除する条項が
適用されているとして、こうした議論を一蹴している。

アルゼンチンは債務再編に応じた投資家よりも
ホールドアウトに多く返済する事態は何としても
回避したい構えで、「テクニカルデフォルト」を
選択する可能性さえちらつかせている。

債務編成に参加した債権者が保有する240億ドルの債務が
「テクニカルデフォルト」のリスクにさらされている。