米FRBはMBSに買い入れ絞るべき、国債は売却を=論文

米連邦準備理事会(FRB)の資産買い入れについて、
住宅ローン担保証券MBS)の買い入れに的を絞り、
国債は売却すべきとする論文が、米カンザスシティ
地区連銀経済シンポジウムで発表された。

米金融市場ではこのところ国債の売りが加速しているが、
論文を執筆したノースウェスタン大学のArvind
Krishnamurthy氏とバークレー大学のAnnette
Vissing-Jorgensen氏はFRBの出口戦略について、
国債の売却から開始するべきとの考えを示した。

両氏は資産買い入れの効果について、長期金利への影響が
限定的にとどまるなど、FRB当局者が期待したほど
広範囲に及んでいないと指摘。

一方でMBSの買い入れは、圧力にさらされていた
特定部門に支援の的を絞ることで比較的高い効果が
得られたとし、MBS買い入れは国債買い入れよりも
経済的に有益だと主張した。

両氏はまた、資産買い入れの目標が労働市場見通しの
著しい改善と曖昧に定義付けられ、具体的な指針が
示されていないことが、買い入れの効果を低減させ、
最終的な出口戦略を複雑にしていると指摘。

「そうした枠組みが示されなければ、投資家は資産買い入れの
実施あるいは解除の条件を判断できず、長期的な資産価値を
的とした政策の有効性が損なわれる」との見方を示した。

7月の連邦公開市場委員会FOMC)の議事録では、
「資産買い入れの条件付き見通しに関するさらなる情報を
声明に加えることを委員会は検討したが、資産買い入れを
めぐる市場の期待を不必要にシフトさせる可能性があると
判断した」としており、資産買い入れの見通しについて
指針の導入を検討したものの、現時点では見送ったことが
明らかになった。