英国、持続的な景気回復局面入りの様相=マイルズ中銀委員

イングランド銀行(英中央銀行BOE)の金融政策委員会
(MPC)のマイルズ委員は19日、ロイターの
インタビューに応じて、英国経済が持続的な
回復局面に入りつつあるように見えると語った。

マイルズ委員は、英経済に対する見通しが好転したことが
資産購入枠拡大の主張を取り下げた主な理由だと説明。

「われわれはこれまでよりもずっと好ましい軌道に
移行しているかもしれない。そこでは楽観が自己増強と
自己確認を続けている。まだ初期の段階で(はあるが)、
これは従来決めた資産購入額を維持する時だと考える
決定的な要素だ。当面は現状維持が適切な戦略だと思う」
と述べた。

ただ、景気回復がつまずくようなら再び新たな
資産買い入れを始める可能性は排除しないとしている。

一方でマイルズ委員は、BOEが8月に「フォワード・
ガイダンス」を導入してから英国債利回りが上昇している
ことについては、不安を持っていない。

「個人的な解釈では、金利や為替の動きの大部分は、
明るい経済ニュースに対する反応だ」という。

BOEは英経済成長率を来年2.7%と、今年見込みの1.5%から
加速して長期的な平均成長率をやや上回る水準になるとみている。

今年これまでの成長率も第1・四半期が0.3%となった後、
第2・四半期は0.7%と予想外に堅調に推移している。

マイルズ委員は、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小を
始めれば英国の景気回復が損なわれるのではないかとの見方は一蹴し、
英国の利回りが米国の利回りの動きに否応なく結びつくとの考えを
信じるべきではないし、実際に信じている人も多くはないと主張した。

また委員は、8月以降の英国債利回りの急上昇が企業の
借り入れ能力に打撃を与えた証拠は見当たらないとした上で、
「中堅企業の資金調達環境は徐々に緩みつつあり、一部の
小規模企業にもそれは当てはまる」と話した。

委員は、英国債利回りの上昇の背景として成長が加速して
失業率がBOEの想定する3年後よりも早く利上げ開始の
目安した7%まで低下するという市場の観測があるとしながらも、
成長率の加速に伴って労働生産性が急速に向上し、新規雇用の
伸びは抑えられるはずだと強調した。

委員によると、BOEのガイダンスに対する市場の反応の中には、
自身が考えているよりも成長と生産性の関係性を軽視している面が
恐らくあるのだろうという。

委員は、MPCが定期的に国債利回りBOEの経済見通しと
整合的かどうかコメントをするという案には否定的だった。

7月にはそうしたコメントが出され、8月のMPCでも
議論があったが、18日に公表された9月のMPC議事録では
関連した部分はほとんど見当たらなかった。

委員は、住宅価格の上昇に関しては懸念していないと表明。

その理由として地域によってばらつきはあるものの、
全国レベルでは3%強とインフレ率より若干高い程度に
とどまっている点を挙げた。