法人実効税率下げ、給与増に回る保証なければ困難=麻生財務相

麻生太郎財務相20日閣議後の会見で、消費増税による
景気の腰折れを回避するための経済対策をめぐり焦点に
浮上している法人実効税率の引き下げについて、
コメントできる段階ではないと述べた。

税率の引き下げが設備投資や雇用拡大、給与引き上げに
つながる保証がなければ世間で通用しないと慎重な見方を
改めて示した。

政府は復興特別法人税を1年前倒しで廃止する方針を
固めており、法人実効税率(東京都)は2014年度に
現行の38.01%から35.64%に下がる。

さらに政府内では、競争力を強化し成長を底上げする
狙いから、さらなる実効税率の引き下げの検討を模索する
動きがある。

これに対して麻生財務相は「代替財源を今すぐ
見つけることは難しい」とした上で、「実効税率を
引き下げた場合に、それによって出た利益が設備投資や
雇用の増大、給与引き上げに回る保証を経営者がするか。
内部留保がたまるだけなら意味がない」と難色を示し、
「簡単に『はい』と言える話ではない」と語った。

その上で麻生財務相は「日本企業が海外と競争していく点から、
長期的な課題として検討しておかなければならない問題だ」とし、
中長期の課題と位置付けた。

復興特別法人税の廃止に関しては「これを前倒しする話が
ないわけではない」としながらも、「内部留保に回るだけなら
世間で通らない」と注文を付けた。

所得税の復興増税分の扱いについては、25年間で7兆円を
見込んでおり、「それに匹敵するものはない」とし、付加分の
撤廃について「やりたいという話にはつながっていかない」
とはねつけた。

麻生財務相はきょう安倍晋三首相と会談し、
経済対策の内容について詰めを行う。

焦点の法人実効税率引き下げについては
改めて慎重な見解を示すとみられる。