米FRBが流動性規制案、バーゼルⅢより厳格化
米連邦準備理事会(FRB)は24日、厳しい経営状況にも
30日間耐えられるだけの換金性の高い資産保有を銀行に
義務付ける流動性規制の詳細を提案した。
同日の会合で規則案を全会一致で承認した。
タルーロ理事によると、流動性資産として認められる
資産の定義や実施までの移行期間に関し、国際合意である
新銀行自己資本規制(バーゼルⅢ)より厳格な内容となる。
新たな流動性規制では、預金流出や格下げによる
担保積み増しなどに対応できるよう、国債など
流動性の高い資産の積み増しが義務付けられる。
対象資産については、米国債、FRBに預け入れる
超過準備預金が最も流動性の高い資産と位置づけられている。
連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)や連邦住宅貸付抵当公社
(フレディマック)など、政府系住宅金融機関(GSE)向け
債権は流動性がより低いとされ、バッファー全体の40%まで
しか組み入れることができない。
実施期限について、バーゼルⅢでは2019年までと
なっているが、FRBはこれを2017年1月までと
前倒しで実施する。
FRB当局者は実施期限の前倒しを決めたことについて、
米銀行は既に基準をほぼクリアしていると見受けられるためだ
と説明した。
JPモルガン、ゴールドマン・サックス、シティグループ、
モルガン・スタンレーの各行はいずれも、流動性はバーゼルⅢの
基準を満たすのに十分な水準との見解を表明済み。
タルーロ理事は「金融危機は流動性ひっ迫が引き金となって、
ぜい弱な銀行の資本基盤をさらに弱体化させる構図になっており、
流動性規制を導入することが不可欠」としている。
FRBのスタッフは、新規制の導入により、業界全体で
2000億ドル程度の不足が生じると推測している。
新規制は、資産規模2500億ドル以上の全銀行に適用されるが、
資産規模が500億ドル以下の銀行には適用されない。
資産規模がその中間にあたる銀行については、
より緩和された内容の規制が適用される。
FRBは正式提案後、金融業界から90日間意見を
公募した上で、最終的な取りまとめを行う。
FRBの次期議長に指名されたイエレン副議長は
「これは重要な一歩だが、まだ課題がたくさんある。
短期のホールセールファンディング取引に絡む
金融の安定性リスクに対処する必要があるのは
明らかだ」と述べた。