米連邦債務引き上げめぐる懸念、信認損なう恐れ=欧州委員長

欧州委員会バローゾ委員長は30日、債務上限引き上げ問題を
めぐる米国の問題解決能力に対し懸念が長引けば、世界における
米国の信認が損なわれる恐れがあるとの見解を示した。
ロイターとのインタビューで述べた。

不透明感が投資家のリスク回避姿勢を強め、経済に
大きな打撃を与える可能性があるとし、「米経済だけでなく、
世界における米国の信認がかかっている」と述べた。

その上で「米国の民主主義が機能し、問題が決着することを
望む。米経済の規模や影響の大きさを踏まえれば、問題の解決は
米国だけでなく世界にとって極めて重要」とした。

委員長は過去およそ3年にわたり、欧州債務危機問題の
解決に中心となって取り組んできた。

ギリシャのユーロ離脱懸念が高まり危機が最も
深刻化していた頃には、米当局者が欧州指導者に対し
状況の説明などを頻繁に求めてきた経緯がある。
だが現在では、欧州の状況は概ね沈静化。

一方の米国では債務上限問題で共和党保守派が強硬姿勢を貫き、
デフォルト(債務不履行)の瀬戸際まで追い込まれるなど、
立場が逆転した格好となった。

バローゾ委員長は「欧州危機から学ぶべき教訓は
信頼感の問題」とし、「投資家信頼感に影を
落とすものはすべて、当事国の米国だけでなく
世界経済にとっても望ましくない」と述べた。

欧州指導者などに対する米国のスパイ活動疑惑については
「非常に驚いた」とした上で、双方の信頼回復に向けた
具体的な措置が必要とした。

その上で「欧州にとり対米関係ほど重要なものはなく、
米国にとっても欧州との関係は何より重要だと思う」と述べた。