白井・佐藤委員が物価下振れリスクの明記を提案=日銀議事要旨

日銀が26日公表した議事要旨によると、10月31日に
開催した金融政策決定会合では、「経済・物価情勢の展望」
(展望リポート)の議論において、白井さゆり審議委員と
佐藤健裕審議委員が物価見通しに下振れリスクを明記するよう
提案していたことが明らかになった。

木内登英審議委員は、2015年度にかけて2%目標達成が
可能とした記述を削除する趣旨の提案を行っていた。

会合では、いずれの提案も反対多数で否決された。

白井委員は経済・物価のリスク要因について、それぞれに
「下振れリスクを意識する必要がある」と記述するよう
提案した。

理由として、海外経済と家計の雇用・所得の動向、
中長期的な予想物価上昇率とマクロ的な需給バランスに
対する物価の感応度などに不確実性が大きいことをあげた。

佐藤委員は、物価見通しのリスクについて「上下に
概ねバランスしている」との表現を「下方にやや厚い」
と下振れリスクを意識した表現に修正することなどを提案した。

木内委員は、予想物価上昇率の見通し部分の「2%程度に向け
次第に収れんしていく」との表現と、見通し期間の後半に
かけての物価動向に関する「(物価安定目標の)2%程度に
達する可能性が高い」との記述をそれぞれ削除する趣旨の
提案を行った。

全体の議論では、発言者名は明らかになっていないものの、
物価の先行きについて1人の委員が「2%に向かって
予想物価上昇率が上昇することは不確実性が高い」とし、
見通しが下振れた場合は「金融政策に対する信認をき損する
おそれが大きい」と指摘。

別のある委員も「2%に向かって予想物価上昇率が上昇し、
収れんしていくのは難しい」との見方を示している。

同日に公表された展望リポートには、日本経済は2%の
物価安定目標の実現に向けた道筋を順調にたどっている
との認識が示され、2015年度までの見通し期間後半に
かけて目標が達成できる可能性が高いと明記された。

議論の中で1人の委員は、物価が見通し通りに上昇するには、
「賃金、特に恒常的な所定内給与が上昇することが、
非常に重要」と指摘している。

金融政策運営の議論では、1人の委員が物価安定目標について
「あくまで柔軟な枠組み」と述べ、「ピンポイントで2%を
実現することが究極の目標であるとの誤解を与えるべきではない」
と発言。

その委員は「賃金動向などから先行き2%に達することが
ある程度見通せる」という状況になれば、「達成したと
評価できる」と賃金動向を踏まえた見通しで判断すべき
との認識を示している。