2%目標に再検討の余地、3%の賃上げ必要=木内日銀委員

日銀の木内登英審議委員は26日都内で講演し、2%の
物価目標を実現するには3%程度の賃金の上昇が伴うのが
望ましく、実現に「相当の時間がかかる」として、
2%目標自体を再検討する余地があるとの見解を示した。

木内委員は、10月31日の金融政策決定会合で、
「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)の見通しについて、
2015年度までに2%の物価目標に達するとの記述に代わり、
数値を明記せずに「上昇幅を緩やかに拡大させていく」
と書くよう提案したことに触れ、 「雇用・賃金は景気に
遅行するため、賃金の上昇を伴いながら物価上昇率
高まっていくまでには、相応の期間がかかる」ためと説明した。

また「2%の物価目標と整合的な名目賃金上昇率は3%程度、
労働生産性上昇率を0.5%程度としても2.5%程度となる計算だが、
賃金水準をそこまで引き上げるには、相当の時間を要する」とも強調。

「海外先進国でディスインフレ傾向にある点を踏まえると、
日本の物価上昇率に下向きの圧力がかかりやすい状況が
なお続いている」と述べた。

木内委員は、これまでの決定会合で2年で2%達成との
目標を緩やかなものと変更し、現在の緩和策の継続期間を
2年程度にするよう修正提案を出し続けた。

理由について、異次元緩和が長期にわたり継続する
との期待が高まれば「金融面での不均衡(バブル)形成などに
つながる懸念があるため」など説明した。

にもかかわらず同氏が巨額の国債買い入れなど異次元緩和の
具体的な施策には賛成している理由について、「プラス効果の
大きさが潜在的なリスクないし副作用の大きさをわずかでも
上回っていると判断しているため」と述べた。

現在の物価目標を2年程度で達成するのが難しいとの見方が
広がった場合、「プラス効果よりも副作用が大きいと判断される
場合でも、市場の期待などに影響されて、日銀がそうした対応を
余儀なくされる可能性も否定できない」との懸念も表明した。

また、足元の物価は上昇しているが、「5年、10年といった
中長期の予想物価上昇率は緩やか」だとして、日銀が
物価目標を決めても「それだけでは中長期の予想物価上昇率
容易に誘導されるものではないことを示唆している」と指摘した。

このような理由から、「将来的には2%との物価目標水準を
再検討する余地もある」と述べた。