英中銀総裁、フォワードガイダンス批判に反論

イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁は26日、
議会財政委員会で証言し、就任後導入した金融政策方針の
見通しを説明するフォワドガイダンスの正当性を
あらためて主張した。

委員会ではフォワドガイダンスは効力を失っている
といった厳しい批判の声が上がったが、総裁はガイダンスを
打ち出さなかったら英経済の回復がリスクにさらされるとし、
こうした批判は「理論が破たんしている」と反論した。

中銀は8月、失業率が7%に低下するまで
過去最低水準にある金利を引き上げないと表明。

当時、この数値基準に失業率が
低下するのに約3年を要するとしていた。

だが失業率はその後、
中銀の予想以上に速いペースで低下。

どの程度低金利が維持されるのかをめぐり、
疑問が高まった。

今月には早ければ来年第4・四半期にも失業率が
7%に低下する可能性があるとの見方を示し、
8月時点から大きく軌道修正している。

総裁は中銀がガイダンスを発表しなければ、
金融市場はより早い時期の利上げを織り込む
との考えを改めて示し、「金利動向をめぐる
短期的な見通しに調整の動きは見られない。
景気回復の力強さを踏まえれば、歴史的な
金利と景気回復の)関係は金利動向に
完全に織り込まれていただろう」とした。

また失業率が金融引き締めの目安とされている
7%に低下しても利上げを急がないと主張。

「7%というのは目安であり、
利上げ開始の基準ではない」と述べた。

国際労働機関(ILO)基準の
7〜9月失業率は7.6%だった。

一方、総裁は、とりわけ企業投資や債務水準を
測る指標が基準に達していないため、経済の
健全性を見極める作業を一段と困難にしている
と述べた。

住宅市場の回復については、価格が引き続き力強く
回復する公算が大きいとし、「現在の短期的な勢いが
当面続き、いずれは住宅価格の伸びが標準的な賃金の
伸びとより整合するペースに落ち着く」との見方を示した。