ユーロ圏金融部門の緊張、危機前の水準近辺に低下=ECB

欧州中央銀行(ECB)は27日、半期に一度の
金融安定報告書を公表し、ユーロ圏金融部門の緊張は
2007年に始まった世界的な金融危機以前の水準近くまで
低下しているものの、金融環境は依然脆弱な状態に
とどまっているとの認識を示した。

報告書は「システムの緊張を測る指標は金融危機前の
水準近辺に戻った」とし、「緊張に関する指標及び
ユーロ圏のファンダメンタルズは、とりわけ銀行の
資金調達面において、金融市場の緊張が
緩和されたことを示している」と指摘した。

経済、金融の衝撃や国債市場の緊張、国際金融市場の混乱、
周辺国の銀行の資金調達問題が、域内の金融安定に
対する主要リスクとしている。

また今後数カ月に多くの銀行債が
償還を迎える点に言及。

「厳しい営業環境にある銀行にとり、調達コストの
高止まりは無秩序なデレバレッジへの圧力を高め、
経済や成長にもマイナスの影響が及ぶ恐れがある」とした。

ECBは、各国に改革継続し競争力を高めるよう
求めるとともに、ユーロ圏銀行同盟構想を
推進するよう主張した。

「真のユーロ圏銀行同盟に向けた一段の取り組みは、
(域内の)分裂への断固とした対応になる」とした。

さらに「金融セクター問題に対する安全網を
明確にするための追加措置が必要」とし、
銀行セクターが資金支援を必要とする場合に備え、
信頼ある保証制度を整備すべきとの考えを示した。

世界経済については「回復はなお抑制されており、
国・地域全般でまだら模様」とし、「リスクが
下向きなのは明らか」と指摘した。