EU銀行破綻処理制度に批判相次ぐ、ECB総裁は支持

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は19日、
欧州連合EU財務相理事会で合意した
域内銀行の破綻処理制度について、
支持する意向を示した。

合意内容をめぐっては、複雑すぎ、かつ資金手当てが
不足しているなどの批判が相次いでおり、欧州議会
シュルツ議長はユーロ圏債務危機発生以降で最大の誤りと
批判し、現行の形では承認しない考えを示した。

ドラギ総裁もこれに先立つ16日、欧州議会で、
ユーロ圏の銀行破綻処理計画は、過度に複雑で
資金が不十分な可能性があるとの懸念を示していた。

だがEUサミットに出席するためブリュッセル入りした
ドラギ総裁は「銀行同盟の完了に向けた重要な一歩」として、
歓迎する意向を示した。

総裁はサミットで制度の詳細について自身の考えを
EU首脳に伝えるとみられている。

ECBは来年から欧州大手銀行の監督を担うため、
ECBによる銀行破綻処理制度への支持は不可欠となる。

一方、シュルツ議長はEU首脳会議向けの原稿で、
合意した破綻処理制度を「緊急病院に搬送されてきた
患者に対し、救急処置を行わず、代わりに病院の
理事会を招集するようなものだ」と指摘。

合意した内容をそのまま実施すれば
「危機対応における最大の誤り」と批判した。

EUの規定では、破綻処理制度の
実施には議会の承認が必要。

前日の会合では、ショイブレ独財務相が銀行同盟が
完全に機能するまでの移行期間に、銀行救済の
コスト負担を納税者に負わせることは認めないと
改めて主張し、譲歩しなかった。

そのため合意では、短期的に欧州安定メカニズム
(ESM)から銀行に対し直接資本注入を行う可能性が
排除された。

また銀行破たんの決定において、欧州委員会
唯一の権限を付与することも退けられた。

合意では、まずはECBが、経営の悪化した銀行が
存続可能かどうかを判断、その後銀行を破綻させる
権限を持つ新機関、欧州委員会、最大18カ国の
ユーロ圏加盟国が破綻手続きに関与する。

そのため意思決定に長い時間を要する可能性がある。