金融不安定への懸念、FRBの緩和提供妨げるべきでない=バーナンキ議長

米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は16日、
大規模な資産買い入れ策が金融システムの不安定化を
招くとの妥当な懸念があるものの、FRBは経済が
必要としている刺激策を提供すべきとの見解を示した。

ブルッキングス研究所主催のイベントで述べた。

非標準的な金融政策に起因するリスクで
「個人的に妥当と考える」のは、金融安定への
潜在的な阻害要因をめぐる懸念だけだと指摘。

だが「私の同僚も含め、現時点では金融安定への
懸念が金融政策緩和の必要性を低下させるべきだ
とは考えていない」と述べ、FRBとして非標準的な
政策の副作用をこれまで以上に認識しながらも、
引き締めは急がない姿勢を示唆した。

FRBバーナンキ議長の下で、
未踏の領域に踏み込んだ。

政策金利を2008年12月以降、ゼロ近辺に
据え置くだけでなく、政策金利の方針説明である
長期のフォワドガイダンスも導入した。

また長期金利押し下げと雇用促進に向け、
3度にわたる量的緩和QE)を実施し、
FRBのバランスシートは約4兆ドルに
膨らんだ。

議長はこれらの異例の措置について
「いずれも有益だと思う」とし、「抑制の
きかないインフレなど、多くの人が
警告したような潜在的コストが実体化する
こともなかった」と述べた。

FRBが指標としているインフレ率は
1.1%と、目標の2%を大きく下回っている。

一部の米議会関係者やタカ派FRB当局者からは、
大規模な量的緩和レバレッジローンなどリスクの
高い分野で資産価格バブルをあおる恐れがある
との批判もあるが、バーナンキ議長は、金融政策では
最大雇用と物価安定というFRBの責務を
達成することに注力すべきとの立場を崩さず、
「(金融不安定化の)リスクに対処するために
金融政策をゆがめないことを戦略としてきた」
と述べた。

FRBは前月、月額850億ドルのペースで
行っていた資産買い入れを1月から750億ドルに
100億ドル減額することを決定、量的緩和終了へ
第一歩を踏み出した。

また、とりわけインフレ率が2%を引き続き
下回る場合には、失業率が基準とする6.5%に
低下した後もかなりの間、政策金利をゼロ近辺に
維持するとの方針を示した。

議長は緩和縮小の決定時、おそらく今年終盤に
資産買い入れを終了する見通しと述べる一方、
金融引き締めに着手する時期には程遠い
との認識を示している。

債券買い入れをめぐってはFRB内で異なる
見解もあるが、議長はこの日の講演で、
債券買い入れについて「本質的に効果がない」と
「多数」の当局者が考えているとは思わないと述べた。

FRBは非標準的措置によって金融危機
一段の深刻化回避に寄与した可能性が高いが、
それでも政界からは多くの批判を浴びてきた。

バーナンキ議長はこれについて、景気の改善に伴い、
FRBが実施したのは国民の利益にかなう必要な措置で、
一般市民を支援するための行動だったと理解して
もらえることを望むと述べた。

金融危機が最悪期にあった2008年終盤には
眠れない日があったかとの質問には「もちろんだ」
と答え、「起きている事態にあまりに集中し、
対応を見いだそうとしていたため、内省する
段階にはなかった」と振り返った。

2月1日には現在副議長を務めるイエレン氏が
バーナンキ氏に代わりFRB議長に就任する。

今回のイベントは、バーナンキ氏にとり
FRB議長として公の場で発言する最後の
機会になるとみられている。