米財務長官の円安けん制発言を注視=岩田・元日銀副総裁

岩田一政・日本経済研究センター理事長
(元日銀副総裁)は17日、都内の景気討論会で、
米国のルー財務長官による16日の円安けん制発言を
注視していると指摘した。

「政治的な発言がなければ、為替レートは
ゆるやかにドル/円110円まで進む」としつつ、
米議会でTPP(環太平洋経済連携協定)で
為替操作国に制裁を課す為替条項を
盛り込む声が多いことなどに懸念を示した。

2014年度の実質成長率見通しは「潜在成長率並みの
0.6%。政府の補正予算がなければ0.2%程度」とした。

「今回の景気回復の特徴は過去とまったく違う内需主導。
拡大的な金融・財政政策で消費と公共投資が引っ張ってきた。
一方、設備投資の動きは鈍く、実質輸出も円安が2割進んだ
割に極めて緩やか」と指摘した。

消費増税の影響は「8兆円の増税となるが、
公的年金の削減などを含め家計部門には
10兆円程度の負担になり、家計の所得には
マイナスの効果」と指摘。

「3%程度消費者物価は上がるが、名目雇用者報酬は
1〜2%の上昇なので実質はマイナス。実質消費が
プラスになるのは難しい」とし、「家計の貯蓄率も
1%にとどまっており、貯蓄率を落として消費する
余地は限定的」と述べた。

中国は「汚職問題解決のため金融を絞り上海市場の
短期金利が非常に不安定になっており、政策の
割り当てが間違っている」と指摘。

「1月には影の銀行システムでデフォルトが
発生する可能性がある」と警告した。