物価目標達成に2年以上、進展着実なら追加緩和不要=篠原IMF副専務理事

国際通貨基金IMF)の篠原尚之副専務理事は23日、
都内で開かれたセミナーで講演し、先進国・地域の
中央銀行が採用している非伝統的な金融政策について、
世界経済の支援に効果があったと評価しながらも、
出口政策は複雑な執行と困難さを伴うとの認識を示した。

このうち日銀に関しては、2%の物価安定目標の
達成に2年以上かかる可能性が大きいとしたが、
目標に向かって進展している限り、追加緩和は
必要ないと語った。

世界的な金融危機をきっかけに先進国の中央銀行
採用した非伝統的な金融政策運営には、緩和長期化による
リスク選好の行き過ぎやインフレ期待の高まり、
構造改革の遅れなどの「深刻なリスク」があるとしたが、
現時点では「ある程度の自信を持って世界経済支援に
効果があった」と評価。

積極的な流動性供給が「金融市場の機能と金融仲介の
回復に成功した」とし、世界の経済活動もより広く
支援したと語った。

もっとも、大規模な流動性供給と多様な資産の
買い入れを実施している中で、出口は「長く延々と
続くプロセスになる」と述べ、「複雑な執行と、
おそらくは革新的対応が必要となる」
との見解を示した。

昨年12月に米連邦準備理事会(FRB)が
資産買い入れの縮小に踏み出しているが、
これまでのところ「退出は段階的に、明確な
コミュニケーションを行いながら、景気回復の
ペースに応じて実施されるべき」とするIMF
見解に沿った手法で管理が行われていると語った。

ユーロ圏と日本については「退出は
まだ先のことである可能性が非常に高いが、
計画し始めるのは今である」と提言した。

このうち日本に関しては「2%というインフレ目標
向かって着実な進展がなされている限り、追加的な
金融緩和の必要があるとは思わない」としながらも、
物価目標の達成期限は、日銀が目指している
2年程度よりも時間がかかる可能性が高いと指摘。

そうした中で、コミュニケーションの
あり方については「期待をコントロールすることに
重点を置く必要がある」との見解を示した。

その上で、具体的な出口政策について、
国庫短期証券など短期証券の満期ごとの
「自動減額」、長期国債などより満期の
長い証券の購入ペースの減速、超過流動性
解消するための当座預金の付利金利の引き上げ
という順で、多くのツールを使用しながら
段階的に進める必要があるとの認識を示した。