英中銀、差し迫った利上げの必要なし=カーニー総裁

イングランド銀行(英中銀)のカーニー総裁は24日、
差し迫った利上げがないことを強調し、中銀が予想よりも
早く政策金利を引き上げる可能性があるとの
観測の払しょくに努めた。

カーニー総裁は世界経済フォーラム年次総会
ダボス会議)の講演で、刺激策の解除に
踏み切れるほどには、英経済は勢いを
増していないと強調。

「家計支出主導による数四半期のトレンドを上回る
成長は良好なスタートではあるが、十分ではない」と語った。

失業率について、中銀が利上げ検討の目安とした
7%まで「われわれの予想以上に著しく早期に」
低下しつつあると認めた。

カーニー総裁は、安定的なインフレと一致する
失業率の水準が、英中銀が昨年8月に
見込んでいたよりも「幾分低下している」と指摘。

失業率が予想よりも速いペースで改善しても、
緊急の金融政策の解除検討が適切となるには、
もうしばらく景気回復が継続する必要があるだろう」
と述べた。

フォワドガイダンス」(先行きの政策指針)について、
総裁は来月「諸条件の変化に合わせて進化させる」工程に
着手すると表明。

「インフレ見通しの改善や経済の総供給動向について、
われわれが得た知見を踏まえた上で、金融政策委員会
(MPC)は、ガイダンスを更新する複数の
オプションについて検討する」と述べた。

景気回復の勢いが加速し、銀行システムも
改善するなか、総裁は生産性の伸びが増すと予想。

「にもかかわらず、生産性が再び本格的に上昇する前に、
回復が一定期間持続する必要があるようだ」と述べた。

総裁は、基調的なインフレ圧力は引き続き
抑えられているとの見方を示した。

また総裁は、利上げ後も国内の金融状況は
引き続き成長を下支えしていくと強調。

「これらの逆風が意味することは、失業を低く抑え、
物価安定を維持するのに必要な金利水準は、中期でみても
危機前より幾分低めとなるということだ」と話した。

ポンド高については「外需は引き続き弱く、
ポンド高は純輸出の拡大を抑制する」とし、
景気への向かい風のひとつと指摘した。