独連銀総裁が姿勢転換、ECBの量的緩和実施に現実味

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーの
イトマン独連銀総裁は必要があれば
量的緩和策を支持する用意があることを示し、
ECBのあらゆる動きに反対してきた姿勢を
転換した。

2012年のユーロ圏危機のさなか、バイトマン総裁は
ただ一人、ECBの国債買い入れプログラム(OMT)
導入に反対票を投じた。

独連銀総裁としてのバイトマン氏にとって、
このプログラムは明らかに国家財政の領域に
踏み込んだものだった。

だが量的緩和については先月、「論外では
ない」と述べ、柔軟な姿勢を示した。

ドイツの欧州経済センター(ZEW)の
クレメンス・フュースト所長は、「金融政策に
完全に焦点を当てている限り、そして
財政ファイナンスの禁止に抵触しない限り、
イトマン総裁はかなり現実的だと思う」と指摘。

国債買い入れプログラムではそれが彼の
懸念だったが、量的緩和の場合は異なる」とし、
「線引きは簡単ではない。だが量的緩和の場合、
線引きが不可能でもない」と述べた。

45歳のバイトマン総裁は前任者たちと比べて
はるかに若く、物腰もやわらかだ。議論に加わり、
資産買い入れを準備する場合に詳細決定で影響力を
発揮し、理事会内での歯止めとなることを狙っている
とみられる。

「責務の範囲内で」非伝統的な手段を活用するとした
今月の理事会でのメッセージに、財政ファイナンス
禁止を強調する独連銀への配慮があることは明らかで、
イトマン総裁の影響力がうかがえる。

ユーロ圏の低インフレで、周辺国はドイツなどより
競争力のある国と比べて物価調整が進まない見通しで、
債務削減が困難にもなっている。

ユーロ圏のデフレ対策に積極的に取り組むよう、
特に国際通貨基金IMF)からの圧力が強まっているのも、
こうした事情が背景にある。

公的通貨・金融機関フォーラム(OMFIF)で
議長を務めるデビッド・マーシュ氏は
「バイトマン氏にとって、それ(量的緩和)が
改革を免れるための万能薬のようなものだと
関係各国がみなさないことが肝心だ」と述べている。