米FRB、利上げ前に「ヒント」提供=SF地区連銀総裁

米サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は22日、
超緩和的な連邦準備理事会(FRB)の金融政策がようやく
「正常」に向かっている、と指摘した。

ただ、金融政策を正常化する過程で、市場が
混乱することを想定し、FRBは利上げに踏み切る前に
時期やペースについて「ヒント」を与えるだろうと述べた。

ウィリアムズ総裁は、業界団体主催の会合での講演で、
米経済について、今年と来年の成長率が3%と予想し、
2016年までに雇用市場が正常な状態に戻り、インフレ率も
FRBの目標である2%に向けて上昇する、と概ね
明るい見通しを示した。

しかし、「実際の引き締め、つまりフェデラルファンド
(FF)金利の誘導目標の引き上げは、まだかなり先」
と述べた。

総裁は、5年にわたる超緩和的金融政策の結果、
金融市場は脆弱になっており、政策の正常化は
一筋縄ではいかないと認識。

金融政策正常化の過程で、市場が混乱する事態も
想定し「情報発信や政策の変更は、上手く行くように
みえるやり方でも、そうでない場合がある。それを認識し、
注意深く慎重に進める必要がある」と述べた。

昨年、当時のバーナンキFRB議長が量的緩和QE)の
縮小に言及して市場が混乱したことを取り上げ、
バーナンキ前議長は(市場が)すでに認識している
ことに言及したのに、市場は動揺した」と指摘した。

ウィリアムズ総裁は講演後、記者団に対し、
利上げに踏み切る前にFRBはその指針となる
「ヒント」を出すだろうと述べた。

ただし、以前のガイダンスのように、時間軸を示したり、
特定の経済指標を基準とすることはない、とした。

総裁は、「利上げの機が熟したとみなす時期が
近づくのに伴い、そのヒントが(FOMCメンバーの)
講演などで示されるだろう。(FOMC)メンバーの
経済予測にも確実に反映されると予想する」と述べた。
「利上げが近くなるにつれ、適切な時期やペースに
ついてのわれわれの考えをきちんと情報発信したいと
思う」と語った。

量的緩和第3弾(QE3)の終了時期については、
個人的に10月がいいとか、12月にすべきといった
見解は持っていないと語った。

ウィリアムズ総裁は講演で、米債利回りが低いのは
不可解とした上で、FRBの超緩和的な金融政策などが
影響している可能性があるとの見方を示した。

総裁は、米株の上昇は、企業業績が好調なことなどで
説明できるが、米債市場の状況は「謎」と指摘。

その上で、FRBの超緩和的な金融政策、歴史的に
低い金利が長期にわたり続くとの見通しが債券利回りに
反映されている可能性があると述べた。

加えて、世界経済成長に対する期待が低いことや、
外国政府が将来の危機に備えて外貨準備を
積み増していることも、米金利を押し下げる
要因と指摘した。

高水準の長期失業率よりも歴史的な標準に
近づいている短期失業率の方が、労働市場
状況を把握する上で有効という説を
めぐる議論について、総裁は「知的刺激がある」
テーマとしたが、いずれにせよ、労働市場の需給が
引き締まれば、横ばい状態の賃金も上昇し始めるはずと
指摘し、「金融政策に大きな影響を与えるようには
みえない」と述べた。