日本企業の競争力落ちている、外需伸びない=渡辺JBIC総裁

国際協力銀行JBIC)の渡辺博史総裁(元財務官)は30日、
記者団との懇談会で、大幅な円安が進んでも貿易収支が
改善しない背景として、「日本企業の競争力が落ちている
可能性がある」とし、今後も外需は「それほど強く
伸びない」との見方を示した。

日本企業の競争力は欧米では強いが「欧州は消費が低迷、
米国も国内総生産GDP)は伸びているが消費は少し
落ちている」、一方「中進国では日本製品は品質が
過剰なことなどで競り負けている」と指摘した。

米連邦準備理事会(FRB)の金融政策について
「方向感として出口に向かっているがペースは
それほど速くない」とし、緩和縮小の終了から
利上げまである程度時間がかかるとの認識を示した。

日銀の量的・質的緩和(QQE)をめぐっては
「米国が金利を引き上げたときに日本が
追加緩和するのは難しい」とし、米国と
同様に出口戦略を取る必要はないが「(米金融政策と)
完全に向きが違う政策は市場に色々な歪みを与える」
と指摘した。

国際通貨基金IMF)は、昨年5月のバーナンキFRB議長
(当時)による緩和縮小発言で新興国の金融市場に影響が
出たのを踏まえ、「出口を早くしろと言わなくなった」
と指摘。

同時に日本と米国が今以上に金融緩和を強めるのは
望ましくないのではないかとの見解を示した。