欧米の金利低下を睨む

今週の為替相場は、欧米の金利低下を睨み、
円が底堅い動きを見せるものと思います。

欧州では、欧州中央銀行(ECB)が、
理事会を開催します。

今回の理事会では、追加緩和策が
発表される予定で、ユーロは理事会を
前に、軟調に推移しています。

市場は、追加緩和は確定している、
あとはどの程度の緩和策を実行するのかを
注目している状態です。

ドラギECB総裁や他のECB高官の
発言を見ても、今回の緩和策は渾身の策を
行うとの見方が強まっています。

ECB内部では、理事会の回数を減らそう
との機運も出ている模様で、今回の緩和策は、
ある意味、緩和の総仕上げと位置付けている
ようにも見られます。

だから、中途半端な緩和には
ならないと見ています。

市場にインパクトを与える緩和策を行いたい、
そんな思惑が透けて見えています。

一方、米国では、経済指標は米経済が
回復の軌道に乗っていることを
印象付けています。

FRBも、好調な米経済を睨んで、
粛々と、金融緩和の縮小を行っています。

むしろ、利上げへの転換を年内にも
行いたい、そんな意図さえ感じられます。

普通なら、ここまで金融政策の転換の
材料が揃って来たなら、金利は上昇します。

金融引き締めを先取りする形で、
金利は上昇します。

それが理に適う、金利の動きなのです。

しかし、債券相場は逆の動きを見せています。

利上げに向けた材料が出揃う中で、
じりじりと金利が低下する動きを
見せているわけです。

そうなると、ドルは買えません。

金利差が拡大する政策を金融当局が
志向しているのに、金利差が拡大しないの
ですから、ドルを買うのを躊躇してしまうのです。

これには、ウクライナ情勢の緊迫化など、
国際的な緊張激化が、債券買い(金利低下)に
繋がっているのでしょう。

それにしても、唯一のドル買い材料
見られている、金利差拡大に繋がらないことで、
為替相場は、戸惑いを感じているのかも知れません。

この中で、日本は消費税率引き上げで、
景気の低迷が見られると思われていたのですが、
意外に景気は底堅い動きを見せています。

日銀も、早めに追加緩和を行うと
見られていましたが、完全に見守る
姿勢になっています。

米国が利上げに向けて走り出し、
日本が追加緩和を早めに行うと
想定して、ドル買い、円売りが
続いていたのですから、そのポジションの
巻き戻しがあるのかも知れません。

これが最近の円の底堅い動き、
ドルの小甘い動きに繋がっているのかも
知れません。

安倍首相としては、円安株高を
想定しているだけに、円の底堅い動きは
容認出来ないのでしょう。

どのタイミングで、日銀に
円安誘導を行わせるか、注目されます。

予想レンジは、
ドル円が98.20〜103.20円、
ユーロ円が135.20〜141.20円、
英ポンド円が166.20〜172.20円、
ドル円が91.20〜96.20円。