金融機関の貸出利ザヤ縮小続く、収益基盤の確保に課題=日銀総裁

黒田東彦日銀総裁20日、全国信用金庫大会であいさつし、
金融機関の貸出利ザヤ縮小に歯止めがかかっておらず、
収益基盤の確保に課題があるとの認識を示した。

黒田総裁は、足元の日本経済について、消費税率引き上げに
伴う駆け込み需要の反動減がみられているが、「基調的には
緩やかな回復を続けている」とし、先行きも「生産・所得・
支出の好循環が働き続けるもとで、基調的には緩やかな
回復を続けていくとみている」と語った。

消費者物価(生鮮食品除く)の前年比上昇率は、
消費税率引き上げの影響を除いたベースで4月に
1.5%まで伸びを高めているが、「これまでのところ、
消費税率引き上げの前後で、1%台前半の上昇という
基調的な動きに変化はみられていない」と指摘。

しばらくは1%台前半で推移するとし、その後、
「今年度後半から再び上昇傾向をたどり、見通しを
出している2016年度までの期間の中盤頃」に
物価安定目標に掲げる2%程度に達する可能性が
高いとした。

昨年4月に導入した「量的・質的金融緩和」(QQE)は、
「わが国経済は緩やかな回復を続けており、物価情勢も
大きく改善するなど、所期の効果を発揮している」と評価。

2%の物価安定目標の実現を目指し、この安定的な
持続に必要な時点までQQEを継続すると主張。

その上で、上下双方向のリスクを点検し、「2%の
物価安定目標を実現するために必要になれば、
躊躇なく調整を行う方針」と語った。

金融環境については、昨年後半から金融機関の
中小企業向け貸し出しも伸びを高めているとしたが、
金融機関経営は「貸出利ざやの縮小にはなお歯止めが
かかっておらず、安定した収益基盤の確保という面では
課題が残されている」と指摘した。