日銀が今年度成長率を下方修正、総裁は物価1%割れないと明言

日銀は15日の金融政策決定会合で、量的・質的緩和
(QQE)の継続を決めるとともに、2016年度までの
経済・物価見通しを点検した。

消費者物価の上昇率(生鮮食品を除く)の見通しについては、
消費増税の影響を除いて2015年度は1.9%とするなど
4月の予想を据え置いたが、実質成長率は輸出の回復遅れにより
2014年度を従来の1.1%から1.0%に小幅下方修正した。

会見した黒田東彦総裁は、当面物価が1%台前半で
推移するが1%台を割ることはないと明言した。

今回の経済・物価見通しは、4月発表の「経済・
物価情勢の展望(展望リポート)」を点検したもので、
2014年度1.3%、2016年度2.1%と合わせ、
すべて据え置いた。

日銀が目標とする2%に向けて、順調に
推移しているとの見方を示した。

一方、実質成長率見通しは2014年度が1.0%と、
4月予想の1.1%から0.1ポイント下方修正した。

5月の実質輸出が前月比2.2%下落するなど輸出の回復が
遅れている上、1〜3月が消費税引き上げの駆け込み需要で
大きく盛り上がった反動が響くとみているのが理由だ。

2015年度は1.5%、2016年度は
1.3%で、4月時点と同じだった。

黒田総裁は会見で輸出について「若干回復が
後ずれしている感がある」と認め、要因として
アジア諸国の回復のもたつきや、日本企業の
生産拠点の海外移転」を挙げた。

同時に、世界経済の成長率に合わせて
輸出が回復するとのシナリオを堅持した。

総裁は物価については、「当面1%台の前半で推移し、
2014年度後半にかけて物価上昇が再び加速し
2015年度を中心とする時期に目標の2%に達する」
との従来からの見通しを、「変えていないし、
変える必要はない」と強調。

当面は1%前半で推移していくなかで「月々の
変動よりもすう勢を見る必要があるが、1%台を
割る可能性はない」と言い切った。

総裁は6月23日都内での講演で「夏場に向けて、
前年比プラス幅がいったん1%近傍まで縮小する」
と述べたものの、その後再び同じ表現を繰り返しておらず、
市場関係者の間では1%割れの有無が話題になっていた。

物価の押し上げ要因としてはイラク情勢を背景にした
ガソリン価格上昇、下落要因として携帯電話の
通話料金改定が懸念されているが、黒田総裁は
「ガソリン価格も、携帯料金の新料金も、物価への
影響はそれほど大きなものでない」と指摘。

ガソリン価格上昇は「携帯料金と反対側の動き」とし、
両者で相殺するとの見方を示した。