米FRB議長「景気なお回復途上」、当面の緩和維持が適切と強調

イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は15日、
上院銀行委員会での証言で、米景気回復は依然として
不完全との認識を示し、雇用市場がなおぜい弱で
所得の伸びも停滞していることから、FRB
金融緩和政策は当面、正当化されるとの考えを示した。

FRBの緩和スタンスを強く擁護するとともに、
最近のインフレ加速の兆候は、FRBが来年半ばにも
見込まれる利上げを前倒しするには十分でない
と指摘した。

労働市場は健全な状況から程遠いとの認識を示し、
雇用や賃金に関する指標で金融危機の影響から
完全に脱したことが確認されるまで、緩和政策を
維持する方針を示唆した。

6月の雇用統計が強い内容になるなど、最近の
経済指標は景気回復が継続していることを
示しているものの、議長は賃金が上昇し、
意欲を失った人々が労働力として戻るまで、
経済が回復したと結論付けることはないと強調した。

「景気の改善は続いているものの、まだ完全には
回復していない」とし、「米国ではあまりにも多くの
人々が失業状態にある」と述べた。

FRBは議会に提出した金融政策報告書で、
バイオテクノロジーソーシャルメディア
株価について、バリュエーションが「割高」
と異例の指摘を行った。

これを嫌気し、両セクターの株は売りを浴びた。

ただイエレン議長も報告書も、資産価格は概ね
「歴史的な水準」に沿っているとの認識を示し、
FRBの低金利政策に支援されれば、経済成長が
続くとしている。

一方で議長は、労働市場の改善が想定を上回れば、
金利は予想より早く、一段と速いペースで上昇する
可能性があるとした。

だが失業率は高止まり、労働参加率が数十年ぶりの
水準に落ち込む中、現時点でそうした状況が
起こっている兆候は見られないとしている。

労働市場で前進が見られるが、われわれは
まだ目標を達成していない」とし、「回復の足を
引っ張る著しい逆風が吹いている。これが完全に
消失するまで、緩和的な金融政策が必要だ」と言明した。

賃金の増加は見られず、インフレを
懸念することなく賃金が伸びる余地があるとした。

イエレン議長は、米経済は依然として2007〜2009年の
経済危機からの移行期にあるとの認識を示した。

FRBは報告書で、バランスシートは資産買い入れの
終了を予定している10月に4兆5000億ドルで
ピークに達するとの見方を示した。

この他、銀行による2兆6000億ドルの準備が
あることもあわせると、金利の管理において、
従来のフェデラルファンド(FF)市場だけに
依存するのは「実行可能ではない」とした。

議長はまた、米経済は雇用を創出し続け、安定的に
成長しているとの認識を示しながらも、FRB政策担当者は
注目するインフレ指標が今年、目標の2%より低い
1.5〜1.75%で推移すると予想していると明らかにした。

さらに、住宅市場はなお弱く、企業投資は
望ましい水準に達していないとの認識を示した。

議長は証言原稿で、低い労働参加率など労働市場
関する指標は、雇用創出ペースの加速で吸収される
必要のあるスラック(緩み)を裏付けている
との自身の考えを改めて示した。

質疑応答では、FRBが利上げに関し
厳格な規則を設けることは「誤り」と言明した。