輸出の鈍さ、構造要因が想定以上に影響も=日銀議事要旨

日銀が6月12〜13日に開いた金融政策決定会合では、
複数の委員が、輸出の低迷が続いていることについて、
日本企業の競争力低下や海外への生産拠点の移管など
「構造的な要因」が想定以上に影響している可能性がある、
との認識を示した。

18日公表された議事要旨で明らかになった。

会合では、4月以降も輸出が勢いを欠いた状態が
続いていることについて議論が行われ、複数の委員が
日本企業の競争力低下や海外への生産拠点の移管など
「構造的な要因が思った以上に影響している可能性」
を指摘した。

何人かの委員は、これまでの為替円安進行を
踏まえれば、海外への生産移転が「今後さらに
加速するとは考え難い」との見通しを示している。

一方、輸出の伸びが鈍い中でも設備投資は緩やかに
増加しており、複数の委員は「ペント・アップ需要や
省力化投資が設備投資をけん引している」と分析。

こうした中で「今回の景気回復は、輸出が設備投資を
誘発するこれまでのパターンとは異なる姿となる
可能性がある」との見方も示された。

個人消費は、4月の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の
反動減の影響が見られているが、政策委員は「事前想定の
範囲内との見方が多く聞かれている」とし、「5月以降は
持ち直しの動きもみられている」との認識で一致した。

もっとも、多くの委員は、消費増税による実質所得の
減少について「やや長い目でみて消費に与える影響を
注視していく必要がある」と指摘した。

物価動向は、4月の全国消費者物価(生鮮食品除く)の
前年比が、消費増税の影響を除いたベースでプラス1.5%に
伸び率を高めたことを受け、「消費税率引き上げ以降も、
物価の基調に変化ないことが確認された」との認識を共有。

ただ、4月の実績は「やや強め」とし、エネルギー関連の
物価押し上げ効果の減衰などを踏まえれば、今後は
プラス幅が縮小する局面に入り、しばらく1%台前半での
推移になるとの見方が共有された。

国際金融市場動向に関して、ウクライナ
イラク情勢などを背景に市場で神経質な動きも
みられているとし、「地政学リスクには引き続き
注意が必要」との認識で一致した。

世界的な長期金利の低下基調についても言及があり、
何人かの委員は緩和的な金融政策の長期化に加えて
「市場参加者が中長期的な成長率見通しの下振れを
意識している可能性も考えられる」と説明。

複数の委員が、こうした世界的な長期金利の低下が
「投資家のリスクテイク姿勢に与える影響について
留意する必要がある」と指摘している。

金融政策運営では、昨年4月に導入した「量的・
質的金融緩和」(QQE)の効果が「しっかりと働いており、
金融環境の緩和度合いは着実に強まっている」
との認識で一致した。