対ロ制裁強化なら欧州経済や世界貿易に悪影響=渡辺JBIC総裁

国際協力銀行JBIC)の渡辺博史総裁(元財務官)は22日、
マレーシア航空機撃墜を受けて米国による対ロシア制裁が
強化されれば、欧州経済の足を引っ張り、ひいては
世界貿易の縮小にもつながる可能性があるとの見方を示した。
記者団との会合で述べた。

渡辺総裁は対ロ制裁をめぐり、これまでは積極的な
米国・カナダと、ロシアマネーへの依存度が高く
金融制裁に消極的な英国、エネルギー制裁に消極的な
フランス・イタリア・ドイツとの間で見解の相違があった
と指摘した。

ところが、撃墜したのはウクライナの親ロシア派だと
米国が強く主張し始めたことによって、ドイツが
対ロ制裁の強化に反対しにくくなったと分析した。

仮に「対ロ制裁が強化されれば、2014年の
欧州・ユーロ圏の成長が、場合によっては
ゼロ程度にとどまる可能性があり、世界全体の
貿易も小さくし、欧州金融機関の体力が戻らないことで、
中近東やアフリカでの貸し出し姿勢も厳しくなる」
との懸念を示した。

もっとも、撃墜事件の真相究明は難航し、当面は
米ロ双方からの情報戦になるとの見通しを明らかにした。