米FOMCは「相当期間」ゼロ金利維持へ、将来的には利上げ加速も

米連邦準備理事会(FRB)は17日まで開催した
連邦公開市場委員会FOMC)後の声明で、
資産買い入れ終了後も「相当な期間」事実上の
ゼロ金利を維持する方針を改めて表明、労働市場には
「著しい」スラック(緩み)があるとの認識を強調した。

同時に、利上げを開始した場合、そのペースは
予想よりも速まる可能性を示唆した。

市場では、景気改善を受けて金利に関する
ガイダンスが変更されるとの見方が多かったが、
今回のFRBの決定はそうした見方を裏切る
内容になった。

FRBは今回の会合で、資産買い入れペースを
さらに月額100億ドル縮小することも決定。

買い入れは来月で終了する見込みとなった。

声明は「特にインフレ率の予測が2%の長期目標を
下回り続け長期的なインフレ期待も十分に
抑制されたままであるならば、現行のFF金利
目標誘導レンジを資産購入の終了後も相当な期間
維持することが適切になるだろうと引き続き
予測している」と言明。

さらに「労働市場の状況は総じて、さらに一定の
改善を示しているが、失業率はほとんど変化していない」
とし、労働市場には「著しい」量の緩みが残っている
との見方を引き続き示した。

今回のFOMC声明は7月時点での内容と
実質的に変わっていないが、同時に公表された
経済、金利見通しでは、前回6月に比べ、
より速いペースでの利上げが見込まれていることも
分かった。

2015年末時点の金利見通しは中央値で1.375%
(前回1.125%)、2016年末は2.875%(同2.50)と、
それぞれ前回から上昇した。

今回初めて見通しに含まれた
2017年は3.75%だった。

これについて、イエレンFRB議長はFOMC後の会見で、
FF金利の道筋における上向きの動きはほとんどないと
言える」とした上で、「失業率の低下が非常に小幅で、
インフレ上昇が非常に小さいと見込まれるなかでの予想と、
概ね合致していると思う」と語った。

今回の会合では、ダラス地区連銀のフィッシャー総裁、
フィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁の2人が
反対票を投じた。

金利に関するガイダンスは将来、より急な引き締めが
必要と判断した場合に、FRBの手足を縛ると主張した。

声明発表後の金融市場の反応は、株価が小動きとなる一方、
円相場は下落、対ドルで108円台に乗せ、2008年9月以来の
円安水準となった。

金利先高観から米国債利回りは上昇した。

FRBはまた、見直しを進めていた
金融緩和政策からの出口戦略も明らかにした。

保有証券の償還資金再投資については、
経済状況に応じて、利上げ開始から
しばらくしてから終了、また段階的に
縮小すると見込んでいるとした。

超過準備預金金利(IOER)の調整を通じて
フェデラルファンド(FF)金利を動かす考えを示し、
リバースレポは補助的な役割を果たすと説明した。