CPI目標達成へ順調、自動車など反動減の回復鈍い=黒田日銀総裁

黒田東彦日銀総裁は18日午後、全国証券大会であいさつし、
昨年4月に導入した「量的・質的金融緩和」(QQE)の
推進によって、消費者物価は2%の物価安定目標の実現へ
順調な道筋をたどっている、と語った。

一方、自動車など耐久財では、消費税率引き上げに伴う
反動減からの回復テンポが鈍くなっている、と語った。

総裁は、足元の日本経済について、消費税率引き上げに
伴う反動減の影響がみられているとし、「駆け込み需要の
規模が大きかった自動車など耐久財では、反動減の
縮小テンポが鈍くなっている」と語った。

輸出と生産も「このところ弱め」との認識を示した。

もっとも、雇用・所得環境の着実な改善などで、
個人消費は「基調的には底堅く推移しており、
全体としてみれば、駆け込み需要の反動も徐々に
和らいできている」と指摘。

好業績を背景に企業の積極的な投資スタンスも
維持されており、家計・企業の両部門で「所得から
支出へという前向きな循環メカニズムはしっかりと
作用している」と語った。

金融政策運営は、昨年4月に導入した「量的・
質的金融緩和」(QQE)を「着実に進めている」とし、
QQEは所期の効果を発揮しており、「消費者物価は
2%の物価安定目標実現に向けた道筋を順調に
たどっている」と説明した。

もっとも、何らかのリスク要因によって見通しに
変化が生じ、物価目標の実現に必要となれば、
「躊躇なく(政策)調整を行う」と語った。

また、経済・物価情勢が改善に向かう中で
「金融システムや資本市場においても、前向きな
動きが明確になってきている」とし、日本経済の
持続的な成長には「金融システムが安定性を保ちつつ、
企業や家計の経済活動を力強く支援する機能を
高めていくことが重要」との認識を示した。

その上で「企業が積極的にリスクテイクを行い、
成長戦略を実現していく上で、資本市場における
円滑なエクイティ・ファイナンスが重要」などと述べ、
証券業界に対して企業の成長支援や投資家ニーズの
変化への対応、国際金融資本市場の魅力を高める
取り組みに期待感を示した。