全国の地価下落幅1.2%に縮小、3大都市圏は2年連続上昇=国土交通省

国土交通省が18日発表した2014年7月1日時点の
都道府県地価調査(基準地価)は、全国の住宅地・
商業地を含む全用途平均で前年比1.2%の下落となり、
5年連続で下落率が縮小した。

3大都市圏では0.8%上昇し、
2年連続の上昇となった。

地方圏の下落率も1.9%と、
3年連続で下落率が縮小した。

都市開発やオリンピック効果に加えて、地方でも
交通アクセスの改善や外国人観光客増加の効果が表れた。

用途別にみると、商業地は全国平均で1.1%下落し、
リーマンショック以降7年連続の下落となったが、
下落率は5年連続で縮小した。

堅調な住宅需要を背景に商業地をマンション用地として
利用する動きが全国的に見られたことも押し上げ要因となった。

住宅地も1.2%下落と23年連続の
下落となったが、下落率は5年連続で縮小。

住宅着工件数は増税に伴う反動減で減少傾向だが、
土地取引は引き続き動意があり、地価への影響は
限定的となっている。

特に、利便性や住環境が良好な住宅地では
上昇基調を強め、それが周辺住宅地の上昇に
つながっている。

地方の地価上昇地域をみると、北陸新幹線開業に
向け商業地への需要が堅調な金沢駅が15.8%上昇し、
商業地全国1位の上昇率となった。

また新東名高速道路開通に伴い、「新富士IC」に近い
工業地では物流関連用地の需要が堅調で、富士駅
2.4%上昇するなど、交通アクセスの向上が地価を
押し上げる例が目立つ。

外国人観光客の増加を反映して、北海道倶知安町では
円安を契機としたオーストラリア人の別荘地需要等が
活発化、倶知安駅では6.9%上昇した。

このほか、京都市の京阪祇園四条駅
店舗新規出店需要が高まり、6.2%上昇した。

被災地の住宅地でも、宮城県が2年連続で上昇。

特に石巻市郊外では、移転需要が強く16.7%上昇と、
住宅地で全国1位の上昇率となった。

福島県では、いわき市で高い上昇となるなど
上昇地点が大幅に増加し、昨年までの下落から
1.0%の上昇に転じた。

岩手県も被災住民の移転需要が
根強く、下落率を縮小した。

東京・大阪・名古屋の3大都市圏では、住宅地が
0.5%上昇し6年ぶりの上昇となった。

商業地は1.7%の上昇で、2年連続の上昇。

五輪新設会場周辺では、勝どき駅でマンション向け
用地需要が高まり10.8%の上昇、名古屋駅
再開発進展で10.6%上昇した。

基準地価は各都道府県が毎年7月1日における
調査地点の価格を調査・公表し、国土交通省
全国状況を取りまとめている。

今回の調査地点は2万1740地点。

国土交通省が実施する地価公示(毎年1月1日時点の
調査)と実質的に相互補完的な関係となっている。