企業の物価見通しは1年後プラス1.5%で横ばい、インフレ期待高まらず

日銀は2日、9月の全国企業短期経済観測調査
(短観)における「企業の物価見通し」を発表した。

企業が想定する消費者物価(CPI)の前年比上昇率は、
平均で1年後がプラス1.5%、3年後がプラス1.6%、
5年後がプラス1.7%となった。

いずれも前回6月調査から変化はなかった。

これまでのところ、企業の
インフレ期待の高まりはうかがえない。

企業の物価見通しは今年3月調査分から
公表を開始し、今回で3回目となる。

3月調査との比較でも、企業が
想定するCPI上昇率はほぼ横ばいで推移。

日銀は毎回の金融政策決定会合後に公表する
声明文で「予想物価上昇率は、全体として
上昇しているとみられる」と明記しているが、
少なくともこの間の企業のインフレ期待に
大きな変化は見られていない。

日銀では、昨年4月に導入した「量的・
質的金融緩和」(QQE)の導入で、2年程度で
2%の物価安定目標の達成を目指している。

企業の見通しでは、5年後までを展望しても
2%に達しておらず、依然として多くの企業が
物価目標の達成に懐疑的な見方を示している
とも言えそうだ。

同時に公表した各企業の主要な製品・サービスの
販売価格については、現在と比べて平均で1年後に
1.1%上昇、3年後に1.8%上昇、5年後に2.1%上昇が
見込まれている。

前回調査と比べて1年後は同水準だったが、
3年後が0.1ポイント、5年後が0.2ポイント、
それぞれ低下した。

調査に回答した企業数は約1万0200社。

1万社規模で企業の物価見通しを
調査するのは、世界的にも例がない。

日銀では、今後も四半期ごとの短観でデータの
蓄積を続けるが、統計の癖や季節性などを
把握するには「少なくとも2年分のデータ蓄積が
必要」(調査統計局)としている。