金利差着目の対外投融資、さらに進む可能性=白井日銀審議委員

日銀の白井さゆり審議委員は、量的・質的金融緩和
(QQE)の波及経路の1つであるポートフォリオ
リバランスに関連し、米英との金融政策スタンスの
違いによる金利差に着目した対外投融資がさらに
進行する可能性があると指摘した。

また、現在の予想インフレ率は
1%程度で推移している、との見解を示した。

月刊資本市場10月号に寄稿したレポートが23日、
同誌のホームページで公表された。

白井委員は、昨年4月のQQE導入以降の
ポートフォリオ・リバランスの動向について、
日銀による大規模な国債買い入れに伴う長期金利
金利リスク量の低下を通じて「国内銀行を中心に貸出、
次いで株式・投信に向けてリバランスが起きたことが
確認されている」と分析。

こうしたリスクテイクの動きは、「徐々に金融機関等から
企業・家計へと経済全体に広まりつつある」との見解を示した。

その上で、利上げを視野に入れている米英中銀と
QQE継続を表明している日銀との金融政策スタンスの
違いが鮮明になっているとし、今後は「金利差から
対外投融資を中心に、さらにリバランスが促される
可能性もある」との見通しを示した。

一方、QQE推進に伴う金融面の不均衡の顕在化など
副作用について「現時点では懸念される状態にはない」
と主張。

金融不均衡のリスクに注意を払いながら、
「2%の物価安定目標はまだ道半ばであることから、
今後も金融緩和によって我が国経済をサポートしていく」
とした。

白井委員は10月6〜7日に開かれた金融政策決定会合で、
予想物価上昇率について「全体として上昇していると
みられる」とする声明の記述に反対。

「足元で横ばいになっている指標が多くなっているものの、
やや長い目でみれば上昇傾向は続いている」と主張した。

レポートでは、予想物価上昇率について、「上昇を
示す指標もある一方で、横ばいの動きを示す指標もあり、
総じてみれば1%程度で推移している」との認識を示している。