日銀決定会合は賛成多数で現状維持、会見は増税延期に質問集中

日銀は18〜19日に開いた金融政策決定会合で、
10月31日の追加緩和で決めたばかりの政策の
現状維持を決めた。

追加緩和に反対した
委員3人が賛成に転じた。

黒田東彦総裁の記者会見では政府が
18日表明したばかりの消費税再増税
先送りをめぐる質問が集中した。

会合では9人の審議委員のうち、追加緩和に
反対した4人のうち木内登英委員が引き続き
反対したものの、石田浩二委員、森本宜久委員、
佐藤健裕委員が賛成に転じた。

「短期間で中央銀行が政策を変更すると
信認にかかわるため」(黒田総裁の説明)という。

景気の現状判断は「基調的には緩やかな回復を
続けている」との従来文言を踏襲した。

項目別では直近の経済指標の動向を反映し、
「輸出」と「住宅投資」「生産」などの判断を
小幅に引き上げた。

一方、「設備投資」はやや引き下げた。

総裁会見では消費増税
延期について質問が集中。

黒田総裁が財務省よりも財政タカ派とみられ、
来年10月の増税を予定通り実施すべきとの
見解を繰り返し示し続けてきたからだ。

また10月末の追加緩和は、結果的に政府の
増税延期・衆院解散を「後押した」(財務省
自民党)ともみられており、総裁の見解に
注目が集まっていた。

しかし総裁は「政府が持続可能な財政構造への
取り組みを着実に進めることを期待する」など
一般論の答弁に終始。

追加緩和はあくまで2%の物価目標を早期に
実現するためだとして「増税延期で、追加緩和が
間違っていたとか、(緩和時期を)待つべきだった
とは考えない」と述べた。

増税延期により、経済・物価見通しを変更する
可能性については来年4月に公表する
「展望リポート」や1月に予定されている
「中間評価」で議論するとした。

日銀の巨額の国債買い入れが政府の財政規律を
緩めている側面があるが、総裁は「財政規律は
政府・国会の責任で、中央銀行が責任を取る
問題でない」と反論、「日銀に課せられた課題は
2%の物価目標の早期達成だ」と強調した。