物価1%超え、生鮮・エネルギー除く指標で予見可能=中曽日銀副総裁

日銀の中曽宏副総裁は27日、熊本市内で会見し、
2%の物価安定目標に向けて消費者物価(除く生鮮食品、
コアCPI)が1%を超えてくる時期について、生鮮食品と
エネルギーを除いた指標に注目することで、ある程度の
予見が可能と語った。

また、足元で再び原油価格が軟調な動きになっているが、
世界・日本経済にとってプラスとの認識を示した。

日銀は16日に公表した7月の金融経済月報から、
新たにコアCPIからエネルギーを除いたベースの
消費者物価の公表を開始した。

政策運営の目安にしているコアCPIはエネルギーを
含むため、昨年夏場以降の原油価格急落など
エネルギー価格の変動が大きい局面では物価の
基調的な動きが読みづらいとの判断とみられる。

中曽副総裁は、昨年夏場以降の原油価格急落による
コアCPIへの影響について、「エネルギーのマイナス寄与は、
今年7〜9月がピーク。1%程度の下押し要因になる」と語った。

その上でコアCPIの1%超えは「その後にどのくらいの
ペースで(エネルギー価格下落の)マイナスの寄与度が
はく落してくるかがポイントになる」と指摘。

「厳密に、いつ1%と言うのは難しい」としたが、
生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価に
注目することで「コアCPIがどの段階で1%を
超えるか、ある程度は予見できる」との見解を示した。

足元のコアCPIはゼロ%程度で推移しているが、
新指標は5月にプラス0.7%となり、3カ月連続で
上昇している。

副総裁の発言からは、物価の基調を判断する上で、
新指標を日銀が重視している姿勢がうかがえる。

足元で再び軟調な展開となっている原油価格が
世界・日本経済に与える影響については、
原油消費国と産油国で異なるとしながらも、
「世界経済全体としてみると、成長率を
押し上げる方向に働く」と指摘。

日本経済にとっても、「企業収益改善、家計の
実質購買力の上昇につながり、プラスに働く」
と語った。

物価への影響では「短期的に押し下げ要因に働くが、
長い目でみれば経済活動の改善を通じて物価の
押し上げ要因になる」と語った。

日銀では、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で
経済・物価見通しを示すにあたり、原油価格(ドバイ)に
ついて一定の前提を置いている。

副総裁は「(原油価格の)短期的な動きで
前提を変えることはない」と述べた。