G20首脳、成長押し上げに注力=パリ同時攻撃「凶悪」と非難

トルコ南部アンタルヤで開かれていた20カ国・地域
G20)首脳会合は16日、G20全体の経済成長率を
2018年までに2%ポイント押し上げることを確約した
共同声明を採択し閉幕した。

声明は世界的な経済成長は一様ではなく想定を
下回っているとの認識を示しながらも、「われわれは
G20全体の経済成長率を2018年までに2%ポイント
押し上げることに引き続きコミットしている」と表明。

「需要と構造改革を支援する成長戦略のタイムリーで
効果的な実施が最大の優先事項となる」とした。

声明はまた、政策決定を「注意深く調整」し
「明確なコミュニケーションをとる」と明言。

予想される米連邦準備理事会(FRB)の利上げを
警戒する金融市場に配慮した形となった。

これまでに示された外国為替相場に対するコミットメント、
及び保護主義に対抗する姿勢を改めて強調した。

G20首脳はまた、多国籍企業による
税逃れの防止策に対する支持も表明。

ただ、防止策を実施に移すかは各国に委ねられた。

また、欧州に押し寄せている移民・難民問題で
「協調的で包括的な」対応を行っていくことを確約。

気候変動対策での協力でも合意した。

このほか、パリで前週末に発生した
同時攻撃を「凶悪」な行為として非難。

「国外からのテロリストの流入の急速な増加」に懸念を示し、
国境管理の厳格化や航空業界の安全強化などで協力することで
合意した。

さらに、こうした攻撃は世界の平和と安全に対する
脅威となり、世界経済の強化に向けた取り組みを
脅かすとの懸念を示し、G20として連携してこうした
攻撃の防止、及び資金源の根絶に努めるとした。

ただ、このような攻撃がいかなる宗教や国民や
民族と結び付けられることがあってはならないと
言明した。

G20首脳会合の共同声明は通常は世界的な
経済情勢に主眼が置かれるため、今回のように
無差別攻撃に対する非難などが盛り込まれるのは異例。

ただ今回のパリの事件で犯行声明を出した過激派組織
イスラム国」に対する戦略が今後大きく変わっていくことを
示唆するものはほとんど得られなかった。