ドル、下値は堅いか

今週の為替相場は、ドルの下値の底堅さを確認する展開が予想されます。



FRBが利上げを一時停止したほか、欧州中銀も利上げに向けた動きを停止するなど、これまで米国や欧州で利上げが意識されてきましたが、足元では、利上げは遠のいたとの見方が支配的となっています。



米中通商交渉の行方が気掛かりとなる中で、中国経済の鈍化を材料に各国の景気にも陰りが見え始めたことが、世界的な利上げ見通しが解消される動きを見せています。



米国では、FRBが足元の景気に対する懸念が広がり、米雇用統計でも非農業部門の新規雇用が予想を大幅に下回る動きを見せるなど、これまでFRBが利上げの根拠としていた経済指標の悪化が足元で明らかとなるなど、FRBの利上げ先送りに追い風が吹く展開となっています。



足元の経済指標だけでは読み取りにくかった米国の景気に対する懸念が、徐々に明らかになり始めているのです。



今、米国と中国の間では、通商交渉がヤマ場に差し掛かっています。



中国は何としても、米国と合意を図りたいと、これまでにない強い態度で米国との交渉をまとめる姿勢を見せています。



特に、米国の関税強化を受けて、中国経済が厳しい情勢になっており、これを回避するためにも、何としても交渉をまとめて、4月には米中首脳会談を開催し、米国との間で手打ちをしたいと望んでいる節が伺えます。



米国がこのような中国側の思惑に乗せられて、通商交渉をまとめ上げるか否か、今後のトランプ大統領の発言が重視されると考えます。



とは言え、米朝首脳会談でも会談の直前では、何らかの合意でまとまる、そんな風評も流れていましたが、米国は完全な勝利を意識して、米朝首脳会談の席を立ったのでした。



米中首脳会談で、トランプ大統領が、その手を打たないとも限りません。



北朝鮮が、トランプ大統領を読み違えたように、中国がトランプ大統領の思惑を読み違える可能性もあります。



トランプ大統領が譲れない一線がどこになるのか、それを注目する必要があるかと思います。



この中、ドルは底堅い動きを継続しています。



金利面では、米国だけでなく欧州も利上げに踏み切るきっかけを失い、金利だでドルが売られる動きは少なくなっています。



米朝首脳会談の決裂も、その被害は北朝鮮の方が多いとの読みが広がる中で、ドルが売られる展開とはなっていません。



また、日本に対して、円安に対する懸念がトランプ大統領から聞かれていますが、それでもドル売り・円買いの動きは強まりません。



足元、ドルは大きく売られる動きとはならないのかもしれません。



予想レンジは、ドル円108.20113.20円、ユーロ円は120.20126.20円、英ポンド円は140.20146.20円、豪ドル円74.2090.20円。