1日の経済指標

【日本】
6月の日銀短観、2期連続悪化
日銀が1日発表した6月全国企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業・製造業の景況感はプラス7と2期連続で悪化しました。
前回3月調査から5ポイント悪化し、2016年9月調査以来の低水準となりました。
5月に入って激化した米中貿易摩擦中国経済、低調なIT関連需要などが影響しましたが、先行きは、米中貿易摩擦やIT需要の回復期待などから、足元に比べ横ばいが見込まれています。
大企業・非製造業はプラス23で、前回調査から2ポイント改善しました。
改善は2四半期ぶりのこととなります。
先行きは大企業・製造業がプラス7で足元に比べ横ばいで、同非製造業がプラス17で、足元に比べ悪化が見込まれています。
非製造業の先行き悪化見込みは、人手不足や人件費高、オリンピック需要の一服などが背景にあります。
大企業・全産業の2019年度の設備投資計画は前年比7.4%増でした。
2018年度の大企業・全産業の設備投資が同7.3%増(3月調査では13.9%増)に下方修正されたことから、2019年度計画の伸び率は同7.4%増(3月調査は同1.2%増)に高まりました。
ただ、設備投資額は、3月調査比0.1%の下方修正となっています。
大企業・製造業の2019年度の想定為替レートは1ドル=109.35円と、前回調査から円安方向に修正されました。

 

今週の材料は?

今週も各国で経済指標の発表が目白押しです。



大阪で開催されたG20では、米中首脳会談が行われ、追加関税が課せられることはなくなり、米中の貿易問題の協議が継続されることとなり、国際金融市場に与える悪影響は一時的になくなることとなりました。



一先ず、米中の報復合戦が休戦となったことで、安心感が浮かんでいます。



この中、米国では雇用統計の発表があります。



これまでに発表された経済指標で、7月の利下げ観測が流れる中で、雇用統計がそれを後押しするものとなるのかどうか注目したいと思います。



欧州でも、再緩和を促す発言が出ている中で、経済指標がどのような内容になるか注視したいと考えます。



一方、日本では、週初に日銀短観が発表されます。



米中貿易協議の紛糾で、足元の数字は悪化することが予想されます。



ただ、悪化は予想の範囲内で、これが大きな影響を与えることは少ないのではないかと考えています。



日本では

1日】

6月の日銀短観・大企業製造業業況判断(予想9、前回12)

6月の日銀短観・大企業製造業先行き(予想6、前回8)

6月の日銀短観・大企業非製造業業況判断(予想20、前回21)

6月の日銀短観・大企業非製造業先行き(予想19、前回20)

6月の日銀短観・大企業全産業設備投資(予想前年度比8.9%増、前回1.2%増)

6月の消費者態度指数・一般世帯(予想39.2、前回39.4)



2日】

6月のマネタリーベース(前回前年比3.6)



5日】

5月全世帯家計調査・消費支出(予想前年比1.4%、前回1.3)

5月の景気先行指数(CI)速報値(予想95.3、前回95.9)

5月の景気一致指数(CI)速報値(予想103.2、前回102.1)



欧州では

1日】

5月のスイス実質小売売上高(前回前年比0.7%減)

6月のスイスSVME購買部協会景気指数(予想49.0、前回48.6)

6月の仏製造業PMI改定値(予想52.0、前回52.0)

6月の独製造業PMI改定値(予想45.4、前回45.4)

6月の独失業率(予想5.0%、前回5.0)

6月の独失業者数(予想前月比0.3万人減、前回6.0万人増)

6月のユーロ圏製造業PMI改定値(予想47.8、前回47.8)

5月のユーロ圏マネーサプライM3(予想前年比4.6%、前回4.7)

5月の英消費者信用残高(予想9億ポンド、前回9億ポンド)

5月の英マネーサプライM4(前回前月比0.9)

6月の英製造業PMI(予想49.2、前回49.4)

5月のユーロ圏失業率(予想7.6%、前回7.6)



2日】

6月の英ネーションワイド住宅価格(予想前月比0.2%上昇、前回0.2%低下)

5月の独小売売上高指数(予想前月比0.5%上昇、前回1.0%低下)

5月の仏財政収支(前回672億ユーロの赤字)

6月の英建設業PMI(予想49.2、前回48.6)

5月のユーロ圏卸売物価指数(予想前月比0.1%上昇、前回0.3%低下)



3日】

6月の仏サービス部門PMI改定値(予想53.1、前回53.1)

6月の独サービス部門PMI改定値(予想55.6、前回55.6)

6月のユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想53.4、前回53.4)

6月の英サービス部門PMI(予想51.0、前回51.0)



4日】

6月のスイス消費者物価指数(予想前月比0.1%低下、前回0.3%上昇)

5月のユーロ圏小売売上高(予想前月比0.4%増、前回0.4%減)



5日】

5月の独製造業新規受注(予想前月比0.1%減、前回0.3%増)

5月の仏経常収支(前回8億ユーロの赤字)

5月の仏貿易収支(予想48.54億ユーロの赤字、前回49.81億ユーロの赤字)



米国では

2日】

6月の米製造業PMI改定値(予想50.1、前回50.1)

6月の米ISM製造業景況指数(予想51.0、前回52.1)

5月の米建設支出(予想前月比横ばい、前回横ばい)



3日】

6月の米チャレンジャー人員削減数(前回前年比85.9)

6月の米ADP雇用統計(予想前月比14.0万人増、前回2.7万人増)

5月の米貿易収支(予想534億ドルの赤字、前回508億ドルの赤字)

最新週の米新規失業保険申請件数(予想22.0万件、前回22.7万件)

6月の米サービス部門PMI改定値(予想50.7、前回50.7)

6月の米総合PMI改定値(前回50.6)

5月の米製造業新規受注(予想前月比0.5%減、前回0.8%減)

6月の米ISM非製造業景況指数(予想56.0、前回56.9)



5日】

6月の米失業率(予想3.6%、前回3.6)

6月の米非農業部門雇用者数(予想前月比16.3万人、前回7.5万人)

6月の米平均時給(予想前月比0.3%、前回0.2)



その他では

2日】

豪中銀、政策金利発表



3日】

ポーランド中銀、政策金利発表

スウェーデン中銀、政策金利発表

28日の経済指標

【米国】
5月の米個人消費支出は前月比0.4%増
米商務省が28日発表した5月の個人消費支出は前月比0.4%増と緩やかに伸びました。
個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.2%上昇と、小幅な伸びでした。
米経済が鈍化していることや物価上昇圧力が弱いことを示し、米連邦準備理事会(FRB)が7月に利下げする材料となる可能性があります。
4月の消費支出は当初発表の0.3%増から0.6%増へ上方修正されました。
PCE価格指数は、食品が0.3%上昇する一方、ガソリンやその他のエネルギー商品が0.6%低下しました。
4月のPCE価格指数は0.3%上昇でした。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたPCEコア指数は前月比0.2%上昇、前月も同じ伸び率でした。

米中首脳会談、貿易交渉再開で合意

トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は29日、大阪市内で会談し、両国間の貿易戦争を再び「休戦」することで合意しました。
米国は中国からの輸入品ほぼすべてに追加関税を拡大する制裁措置を見送る一方、両国は5月上旬から中断している貿易交渉を再開します。
トランプ大統領は中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に対する制裁を緩和する意向も表明しました。
会談の決裂で世界経済に深刻な打撃が及ぶ最悪の事態は当面回避されました。
両首脳の会談は昨年12月以来のことです。
20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の会場で約1時間20分行われましたが、貿易摩擦の解消に向けた抜本的な解決策は示されず、溝は残ったままです。
今後の交渉で成果を見いだせるかは、予断を許さない状況です。
トランプ大統領は会談後の記者会見で、中国との貿易交渉を続けるとした上で「新たな関税の上乗せは当面、行わない」と明言し、現在対象から外れている3000億ドル相当の中国製品に対する追加関税を見送る一方で、発動済みの措置は維持すると強調しました。

G20閉幕、首脳宣言「自由、公正な貿易へ努力、反保護主義は見送り」

G20閉幕、首脳宣言「自由、公正な貿易へ努力、反保護主義は見送り」
大阪市で開かれていた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は29日、2日間の討議を終え、首脳宣言を採択し閉幕しました。
米国と中国の貿易摩擦が長期化する中、宣言に「自由で公正かつ無差別な貿易・投資環境の実現に努める」と明記しました。
また、世界経済の成長は弱く、貿易や地政学上の緊張が高まっていると懸念を示し、「リスクに対応するため、さらなる政策(行動)を取る用意がある」と強調しました。
G20は米国の強い反対から、首脳宣言に「保護主義と闘う」といった文言を盛り込むことは2年連続で見送られました。
議長を務めた安倍首相は閉幕後の記者会見で「世界経済は貿易をめぐる緊張から下振れのリスクがある」と危機感を表明し、こうした中、確実に宣言を採択するため、「各国間の対立ではなく一致点に焦点を当てた」と説明しました。
宣言はまた、海に流出するプラスチックごみを2050年までにゼロにする日本提案の目標「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有したと明記しました。
なた、安倍首相が提唱した「信頼性に基づく自由なデータ流通」の必要性にも言及しています。
日本はG20サミットに合わせ、世界貿易機関(WTO)の枠組みで、データ流通の国際ルールを策定する「大阪トラック」を始動させると宣言、日米や欧州連合(EU)、中国など78の有志国・地域は来月、初の本格会合を開き、来年6月のWTO閣僚会合までに「実質的な進展」を目指します。
G20サミットでは、米中摩擦を背景にWTOによる多角的貿易体制が揺らぎかねないとの懸念が続出しました。
首脳宣言は、WTO改革の必要性に触れ、米国が批判するWTOの紛争解決制度について「機能させるために行動が必要」と明記しました。
また、EUの要求に基づき、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に沿って行動することを確認し、協定離脱を表明した米国の主張も併記しています。
ドイツのメルケル首相は閉幕後の会見で、温暖化対策と貿易分野などを「ぎりぎりまで交渉した」と指摘し、フランスのマクロン大統領は「引き続き緊張はあるが、最悪の事態は避けられた」と首脳宣言採択を評価しました。
日本がG20サミットの議長国を務めたのは初めてのことです。
G20は日米欧などの先進国・地域と新興国で構成、ロシアのプーチン大統領らも出席しました。
今年12月以降はサウジアラビアが議長国となります。

28日の経済指標

【日本】
6月の東京都区部消費者物価指数・コアは前年比0.9%上昇
総務省が28日に発表した6月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は101.5となり、前年比0.9%上昇しました。
前月のプラス1.1%から上昇幅は縮小しました。
総合指数は前年比1.1%上昇、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は同0.8%上昇で、それぞれ前月と同じ上昇幅でした。

5月の有効求人倍率は1.62倍に低下
厚生労働省が28日発表した5月の有効求人倍率は前月比0.011ポイント低下の1.62倍となりました。
高齢者を中心に仕事を探す人が増えたためで、マイナスは7カ月ぶりとなります。
正社員の求人倍率も0.011ポイント低下の1.15倍と、2009年11月以来9年半ぶりに前月を下回りました。
また、総務省が同日発表した労働力調査によると、5月の完全失業率は横ばいの2.4%となりました。
自己都合による離職が減少し、完全失業者数は6万人減の162万人となっています。 

5月の鉱工業生産指数速報値は前月比2.3%上昇
経済産業省が28日発表した5月の鉱工業生産指数速報値は105.2となり、前月比2.3%上昇しました。
上昇は2カ月連続で、生産の基調判断は「一進一退」に据え置かれました。
業種別では、全15業種のうち13業種が前月を上回りました。
自動車工業は5.2%のプラス、パソコンなどの電気・情報通信機械工業は4.4%増、半導体製造装置などの生産用機械工業も4.6%伸びました。
経産省では「全般的に国内需要が好調で、連休中に生産を続けた業種が多かった」(調査統計グループ)と分析しました。
出荷は1.6%、在庫は0.6%それぞれ上昇しました。

5月の新設住宅着工戸数は前年比8.7%減
国土交通省が28日発表した5月の新設住宅着工戸数は、前年比8.7%減の7万2581戸となりました。
持ち家は同6.5%増で8カ月連続の増加となり、貸家は同15.8%減で9カ月連続の減少、分譲住宅は同11.4%減と2カ月連続の減少となりました。

【ユーロ圏
6月のユーロ圏消費者物価物価指数は前年比1.2%上昇
欧州連合(EU)統計局が28日発表した6月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年比1.2%上昇でした。
5月も1.2%上昇で、これは2018年4月以来の低い上昇率でした。
ただ、ECBが注目するコアインフレ率(食品、エネルギーを除く)は前年比1.2%でした。
5月のコアインフレ率は1.0%でした。

【フランス】
6月の仏EU基準CPI速報値は前年比1.4%上昇
フランス国立統計経済研究所(INSEE)が28日発表した6月の欧州連合(EU)基準の消費者物価指数(CPI)速報値は前年比1.4%上昇し、5月から伸びが加速しました。
5は1.1%上昇で約2年ぶりの低い伸びでした。
6月は生鮮食品が前年比3.8%上昇したほか、サービス価格も1.1%上昇と5月(0.6%上昇)から加速しました。
5月の生産者物価指数(PPI)は前月比0.4%低下、前年比0.8%上昇でした。

5月の仏消費支出は前月比0.4%増加
フランス国立統計経済研究所(INSEE)が28日発表した5月の消費支出は、前月比で0.4%増加しました。

 

27日の経済指標

【日本】
2018年度末の個人金融資産は1835兆円
日銀が27日発表した資金循環統計によると、個人(家計部門)が持つ金融資産の残高は、2018年度末で前年度末比0.3%増の1835兆円と、年度末として過去最高を更新しました。
所得環境の改善を背景に現金・預金の増加が寄与したためで、前年度末を上回るのは10年連続となります。
内訳を見ると、全体の53.3%を占める現金・預金は賃上げもあり、1.9%増の977兆円と年度末ベースで最高を更新しました。
一方、株安が響き、株式・出資金が9.5%減の183兆円、投資信託も取引が振るわず2.2%減の71兆円でした。
金融機関を除く企業の金融資産は0.9%増え、過去最高の1176兆円でした。
このうち、現金・預金は3.6%増の273兆円でした。
この中、2018年度末の国債残高(国庫短期証券を含む)は2.6%増の11255兆円でした。
保有者別では、金融緩和のために国債を大量に買い入れている日銀が5.9%増の486兆円で、全体に占める割合(43.2%)とともに最高を更新しました。 

5月の小売業販売額は前年比1.2%増
経済産業省が27日発表した5月の商業動態統計速報によると、小売業販売額は前年比1.2%増の11兆9840億円となりました。
19カ月連続で増加しました。

【ドイツ】
6月の独消費者物価指数速報値は前年比1.3%上昇
ドイツ連邦統計庁が27日発表した6月の消費者物価指数(CPI)速報値は欧州連合(EU)基準(HICP)で前年比1.3%上昇となりました。
欧州中央銀行(ECB)の目標を大きく下回りました。
5月も1.3%上昇でした。
6月は食品のほかレジャー価格が上昇したものの、エネルギー価格の低下が押し下げ要因となった。

【米国】
1~3月期の米GDP確報値は前期比年率3.1%増
米商務省が27日発表した第1・四半期実質国内総生産(GDP)の確報値は年率換算で改定なしの前期比3.1%増となりました。
輸出と在庫が押し上げ要因だった一方、国内需要軟調でした。
2018年第4四半期は2.2%増でした。